スキーにはまっています。


by 幸田 晋

誰も審査しないプルサーマル原発の安全性 (上)

誰も審査しないプルサーマル原発の安全性 (上)
  原子力規制委も投げ出しているプルサーマル計画

      山崎久隆(たんぽぽ舎)


たんぽぽ舎です。【TMM:No3274】
2018年1月26日(金)午後 09:18
地震と原発事故情報
より一部


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┗■1.誰も審査しないプルサーマル原発の安全性 (上)
 |  原子力規制委も投げ出しているプルサーマル計画
|  原発の安全性審査に「プルサーマル原発の安全性」はない
 | プルサーマル計画は核のゴミ問題を深刻化させる
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

目次ue
1.現状…燃やすあてがないプルトニウム利用計画
  核燃料再処理をやめよ
2.帳尻あわせも不可能
3.原子力規制委の怠慢、
  過酷事故対策として追加した設備類を調査審議すべき
 (以下は「下」に掲載)
4.プルサーマルの安全審査をやり直せ
5.電力会社ごとのプルトニウム収支問題
6.プルサーマル計画は核のゴミ問題を深刻化させる


1.現状…燃やすあてがないプルトニウム利用計画
  核燃料再処理をやめよ

 現在稼働中の原発は4基、伊方原発3号機も定期検査が終われば2018年2月に
稼働する予定だったが、広島高裁の仮処分決定により9月末まで運転差止が実現
した。
 伊方原発3号機を含め5基のうち3基がプルサーマル原発で、他は高浜3、4
号機だ。規制委はプルサーマル原発を狙って優先審査をしたと思われる。
 日本のプルトニウム利用計画は、3.11以後に事実上破綻状態となり、再処
理で取り出していたプルトニウム約48トンは使うあてがなく、それにもかかわら
ず六ヶ所再処理工場の建設を中止しなかったため、燃やすあてがないプルトニウ
ム利用計画となっている。

2.帳尻あわせも不可能

 プルサーマルは100万kW前後の原発では最大で炉心の3分の1をプルトニウム
燃料体(MOX燃料体)で運転する。その際に0.3~0.4トン(核分裂性プルトニ
ウム換算)のプルトニウムを消費する。
 電源開発が建設中の大間原発(ABWR型138.3万Kw)だけは炉心全部をMO
X燃料にする計画で、約1.1トンのプルトニウムを消費する。
 3.11時点で建設中だった原発のうち、大間だけが建設を継続したのは、こ
れが理由である。(建設中は他に島根原発3号機があり、こちらはほとんど完成
しているが、島根2号機の新規制基準適合性審査が終わらず完工していない。)
 六ヶ所再処理工場が稼働すれば年間8トン程度のプルトニウムが抽出される見
通しで、この量はプルサーマル原発ならば約16基分だが、大間を含めれば15基に
なり、条件が緩和するというわけだ。
 現在運転中のプルサーマル原発は伊方を含めても3基だから、現状は大幅な余
剰である。
 そのこともあり、安全上の問題を起こし規制基準適合性審査が中断している六
ヶ所再処理工場の完工時期を日本原燃は21年上期へと3年先延ばしした。23度目
の延期だ。
 プルサーマルの認可は3.11以前には泊3、大間、女川3、福島1-3、柏
崎刈羽3、浜岡3、高浜3、4、島根2、玄海3の10基だった。このうち規制基
準適合性審査が済んでいるのは高浜3と4、伊方3のみ。審査中は泊3、浜岡3、
島根2、大間の4基である。
 なお、玄海原発3号機は2018年3月に再稼働を予定している。神戸製鋼所のデー
タ偽造事件で調査に時間が掛かり使用前検査が遅れたためだという。それまでは
2018年1月の再稼働を計画していた。同じく4号機は3月が5月に変更されてい
る。期だ
 電気事業連合会は2010年までにプルサーマル実施原発を16~18基程度としてき
た。海外再処理分の残り37トンと国内約10トン及び六ヶ所再処理工場からのプル
トニウムを消費するために必要量を計算した。
 原発がほとんど止まっている現状では、この計画が実現される見通しは立って
いない。従って国際公約でもある「可能な限り早期に受給をバランスさせる」こ
とは不可能だ。
 現在の規制基準適合性審査済及び申請中の原発26基のうち3分の2をプルサー
マル原発にしなければ消費しきれない。

3.原子力規制委の怠慢、
  過酷事故対策として追加した設備類を調査審議すべき

 規制委は新規制基準適合性審査ではプルサーマルの審査をおこなっていない。
 伊方も高浜も、地震や津波など設置許可時と条件が大きく変わった点について、
設置許可変更申請を事業者から提出させ、申請書類の審査と過酷事故対策として
行われた工事の確認を審査したに留まる。設置許可申請やプルサーマルの審査で
行われている立地評価や炉物理的な評価は、全く行われていない。

 規制委の言い分は、過去の審査で行われた評価について改めて審議調査する必
要はないということらしいが、それはおかしい。条件がまるで変わった地震や津
波評価、火山ガイドなどに関しては、それを個別に審査する以前に立地そのもの
が正しかったのかを検証すべきだし、過酷事故対策として追加設置した設備類に
ついても原子炉設備として本当に正しいのかをプルサーマル原発の観点から調査
審議すべきである。

 3.11以後に福島第一原発事故の教訓と称して緊急対応で実施された仮設の
注水設備や電源車などの対策は、あくまでも応急対策であり、これを恒久的な原
子炉保護設備にするべきではない。成立性に大きな疑問のある消防ポンプ車によ
る代替注水設備(原子炉圧力容器や格納容器、使用済燃料プールに対して既存の
設備が使用不能となった際に消防用ポンプ車などを動員して注水する設備)や格
納容器の代替循環冷却系(サプレッションプール水を外部に引き出し循環させ除
熱できる系統の設備)など、既にいくつもの原発で施工してしまっているが、こ
れらの成立性確認のための実規模試験などは一つも行われていない。

 特に格納容器ベントは、最後の砦として放射能を封じ込めるはずだった格納容
器に穴を開けてしまうのだから、その妥当性を一から問い直すべきである。
 こうした規制委の怠慢に加え、MOX燃料を使った際の核燃料の挙動やメルト
ダウンへの影響、溶融燃料を含む臨界や再臨界のリスク、制御棒挿入失敗(AT
WS)の際の挙動の違いなど、これまでのプルサーマル原発の審査では一切「大
した違いではない」から無視されてきたのである。 (下)に続く
  (初出:月刊たんぽぽニュースNo265・2018年1月)


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┗■2.「再稼働阻止全国ネットワーク」が
 |  13号ニュース発行・よみごたえ
 | 大飯原発、伊方原発、若狭の原発群、東海第二原発、川内原発の記事
 └──── 柳田 真(たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク)

 (原発)再稼働阻止全国ネットワークの13号ニュースが、1月10日発行されまし
た。6頁でよみごたえがあります。
 主な内容は…

1頁…「再稼働ラッシュに抗する 第20回全国相談会(福井)」
          天野惠一(再稼働阻止全国ネットワーク事務局)
2頁…12/3大飯原発再稼働反対!現地集会報告
          若泉政人(サヨナラ原発福井ネットワーク)
3頁…STOP!伊方原発高松集会を終えて
          名出真一(脱原発アクションin香川)
4頁…若狭の原発全廃に向けて
   「若狭の原発を考える会」の当面の活動計画(案)
          木原壯林(若狭の原発を考える会)
5頁…東海第二原発の再稼働阻止!最重点で闘おう 東京に一番近い原発、
   被災した老朽原発、原電は赤字会社
   東京圏での大衆行動と茨城との共闘がキメ手だ
   2018年 脱・反原発の課題と展望
      柳田 真(再稼働阻止全国ネットワーク、たんぽぽ舎)
6頁…大飯全国相談会に参席して   須藤光郎

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「再稼働阻止全国ネットワーク」 TEL 070-6650-5549
住所:〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町2-6-2
         ダイナミックビル5Fたんぽぽ舎気付

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by kuroki_kazuya | 2018-01-27 06:15 | 核 原子力