スキーにはまっています。


by 幸田 晋

空き容量ゼロはウソ!? 再生可能エネルギーの現状と将来を京大教授に聞く

空き容量ゼロはウソ!?

再生可能エネルギーの現状と
将来を京大教授に聞く


Impress Watch 3/7(水) 7:00配信より一部

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180307-00000010-impress-ind

「藤本健のソーラーリポート」は、再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電・ソーラーエネルギーの業界動向を、“ソーラーマニア”のライター・藤本健氏が追っていく連載記事です(編集部)

 昨年、たまたま朝日新聞の記事で「『空き容量ゼロ』東北電力の送電線、京大が分析すると……」という記事を見かけて非常に気になっていた。その記事によると送電線の空き容量がゼロであるとして太陽光や風力などの発電設備が新たにつなげなくなっている東北地方の14基幹送電線が、実際は2~18.2%しか使われていないなどと、京都大学が分析した、と書かれていたからだ。

 筆者自身、3年前に九州で太陽光発電所を作る契約をしたという話は以前「九州で50kWの太陽光発電事業を始めてみた」という記事で紹介したことがある。この話自体、九州電力からまさに「空き容量ゼロ」という断りが来たことで、破綻した経験を持っているので、「どういうことなのか!?」と、やや憤りにも似た感覚を持ったのだ。

 一度、その分析を行なったという、京都大学 大学院経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座の安田 陽特任教授に話を聞いてみたい……と思っていたところ、2月上旬に都内でソーラージャーナル主催のイベントがあり、講演が行なわれるということを知り、参加してきた。

 話を聞いてみると、個人的には驚くような話のオンパレード。ぜひ、改めて話を伺ってみたいと講演直後に飛び込みで挨拶に伺い、アポイントをいただいた。そして念願かなってインタビューすることができたので、その内容を紹介してみよう。

■空き容量ゼロ「九電ショック」の実情

――2014年11月に起こった、いわゆる「九電ショック」というものにより、私が熊本県で作ろうとしていた太陽光発電所が作れなかったという経験があるため、先生の研究に非常に興味を持ちました。幸い、業者とは発電開始時点でお金を振り込むという契約だったため実害はなかったものの、改めてどういうことだったのかが知りたいところです。

安田:まず「九電ショック」なんて呼び方がされていますが、私はそのようなセンセーショナルな呼び方は好みません。あの時点で九州電力が突然「保留」を公表したやり方には問題がありましたが、「この辺はもう空き容量がなくて入りません」と言って情報公開したこと自体は、よいことだったと思います。空き容量がないという情報だけでなく、空いている路線の情報も公開していました。

 ところが「電力会社はけしからん!」「俺たちにも繋がせろ!」と言ったり、政治家を連れてきて特別な配慮をさせるよう圧力をかける人が出てくるなど、おかしな方向にいってしまった例も一部に出てきました。

 実際、その当時、特に九州では急激に太陽光発電所が増えていて、実際に送電混雑が発生しそうな送電線が増えてきていたと思われます。なので、本当はもっとしっかりデータを提示し、どこが空いている、どこが空いてないかなどを論理的・合理的に説明したうえで、お互いが納得する形にできればよかったのですが……。そのような仕組みがないため、お互いが疑心暗鬼になって、一部の人たちがけんか腰になってしまったのがいわゆる「九電ショック」だったのだと思います。

――そのデータがあまり公開されていない中、昨年、先生が送電線の空き容量について独自に分析され、実はかなり空き容量があるという報道を見て驚きました。何か特殊な装置などを使っていろいろと調査をしたということなのですか?

安田:いやいや、私がやった分析は公開データを地道に集計しただけなので、誰でもできることをしたまでです。2015年春ごろから送電線の利用状況がある程度公開されるようになってきています。具体的には基幹送電線といわれる500kV、275kVの太い線の上位2系統(沖縄のみ上位1系統)が公開されているので、そこから利用状況を分析しただけのことです。

 その公開されている全国399路線を分析してみたところ、電力会社側が「空き容量ゼロ」といっていた路線でも、年間の平均利用率がたった数%程度しかない路線も散見された、ということなのです。

――空き容量ゼロだといってたのが、実際には数%というのは、かなりデタラメですね。

安田:「平均利用率なんて無意味だ。重要なのは最大利用率であり、空き容量はそこを見なくてはいけない」と主張される方もいらっしゃいますが、たとえば東北地方のある500kVの幹線でみると、1年間を通しての最大利用率を見ても8.5%しかなかったので、やはり空き容量ゼロといっても多くの人にとって納得できないように思います。

安田:とはいえ、すべての路線がそういう状況ではなく、なかには実際に混雑している線もあります。これらは一つずつ見ていくべきでしょう。そこで、実際に各電力会社が空き容量ゼロと公表しているものがどのくらいあるのか、基幹送電線数に対する空き容量ゼロ率を見てみると、電力会社によってかなり違いがあることも見えてきました。概して東高西低という結果ですね。しかも、今回の分析で実際に混雑しているかいないかを見てみると、混雑していないのに空き容量がゼロとされている路線もかなり多いんですよね。

――あれ? この分析結果を見てみると、九州電力は空き容量ゼロといっているところは3.8%と非常に少ないんですね! イメージしていたものとだいぶ違います。

安田:やはり「九電ショック」と言われ、いろいろと批判を受けたこともあり、その後九州電力はかなり工夫されているのではないでしょうか? 太陽光発電の大量導入が進み、原発再稼働している中でこの数字です。よい工夫をしているのであれば、ほかの地域の送電線の利用率を向上するヒントになるように思えます。

 東北電力と九州電力で利用率ヒストグラム(出現頻度)を比較してみると、年平均利用率で見ても、東北電力の場合は空き容量がゼロとされていても実際はガラガラと言うしかなく、最大利用率で見ても空き容量ゼロなはずなのに、かなり余裕があることが見て取れます。

■送電線の空き容量の判断基準とは

――そもそも、送電線にどのくらいの容量があるのかというのは線の物理的な太さなどから簡単にわかることなのですか?

安田:これはさまざまな条件によって決まってくるので、簡単ではありません。たとえば鉄塔と鉄塔の距離だったり、角度や高低差、張力などによっても違ってきます。また、まわりにどういう木や森があり、道路や川があるのかなどによっても変わってくるので、一概に言えません。他のルートとの関係も総合的に勘案して安全面を考慮した上で「運用容量」というものが決まってくるのです。

 モーターなど一般的な機器であれば、「定格容量」というものが決まっていますが、送電線の場合それがないため、なかなか難しいものはあります。一方、送電線や変電所の空き容量がどのくらいあるかの判断基準には、日本とヨーロッパで大きな違いがあるのです。日本の場合は契約容量ベースで計算されているようで、しかも先着優先なので、従来型の電源が有利となります。一方、ヨーロッパでは空き容量は実潮流ベースで計算されます。しかも容量不足を理由に接続を拒否してはならない、というルールになっているので、状況がかなり異なります。

――実潮流ベースということは、実際に流れた電力ということですね? 送電線に順方向に流れているものに対して、逆方向が流れると上乗せするのではなく、相殺されますよね? 太陽光発電所が発電した電気は送電線に逆潮流の形で流し込むわけですから……。

安田:基本的にはその考え方で間違えではありませんが、そこまで単純でもないのです。その辺はちょうど先日発売したばかりの『送電線は行列のできるガラガラのそば屋さん?』という書籍で、一般の方にもわかりやすく書いているので、よろしければぜひお読みください。この実潮流ベースの計算はヨーロッパでは10年以上前から提唱されており、実際の運用も10年以上前から行なわれているので、日本も急ぐべきところです。電力会社の送電部門のスマート化(ICT化)は急務です。現在は、もしものときのための停電対策が過剰設計になっている恐れがあります。

 本来のリスクマネジメント的考え方で計算すると、すべての電源が最大出力になり、しかもその瞬間に基幹送電線に事故が発生する確率は、何万年に一度レベルの極めて稀頻度であることがわかります。これほど稀頻度事象のために新規電源が接続を制限されるのは合理的とは思えません。もっと既存設備を有効利用する方法もあるのです。2020年には電力会社の送電部門が送電会社として分離独立するため、託送料金収入で稼がなくてはならないのに、そのためのビジネスモデルになっていないのです。これをどうしていくかは大きな課題といえそうです。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-03-08 07:40 | 九電労組 | Comments(0)