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by 幸田 晋

日立と三菱重工が原発輸出の「底なし沼」から出られない理由

日立と三菱重工が
原発輸出の「底なし沼」から


出られない理由


7/12(木) 6:00配信より一部

ダイヤモンド・オンライン

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180712-00174611-diamond-bus_all

 日立製作所が英国で、三菱重工業がトルコで計画する「原発輸出」。安倍内閣も「成長戦略」として後押しするが、福島の事故を受けて原発の安全対策費は高騰しており、採算性の不安はぬぐえない。

 世界では脱原発のうねりも強まり、成長戦略としての筋の悪さは、もはや明白だ。それでも政権は旗を下ろさず、日立も三菱重工も推進の姿勢を崩していない。両社とも政権との関係が近いだけに、「やめたくても、やめられないのでは」。そんな同情論すら、ささやかれる始末だ。

● 英国、トルコでの建設事業 株主総会で採算を懸念する声

 6月20日、東京・後楽園のホテルで開かれた日立製作所の株主総会。最高益を更新して誇らしげな経営陣に、株主が冷や水を浴びせた。

 「唯一の心配が原子力。英国はどうなっているのか」「英国子会社への出資比率は下げられるのか」株主らが問いただしたのは、日立が英国で手がける原発の新設計画だ。

 東京電力福島第一原発の事故のあと、原発の安全対策費は世界的に高騰している。「思いつく安全対策をすべて施さない限り、どの国でも原発の着工が住民の同意を得られなくなっている」(日本の原子力業界団体幹部)。

 日立のライバルだった東芝が経営危機に陥ったのは、米国で着工した原発の建設費が膨らんだためだ。株主が心配するのも、無理はない。

 質問に対し日立の原発担当役員は、東芝などの失敗を参照しているため、同じ轍は踏まないと強調。財務担当役員は、英国子会社には他社にも出資してもらい、着工前に日立の出資比率を5割未満まで下げて連結決算の対象から外すと説明した。

 続けて東原敏昭社長が「みなさまに迷惑がかからない形で、経済合理性を含めて対応したい」と言葉を継ぎ、その場を収めた。

 翌21日、東京・高輪のホテルで開かれた三菱重工業の株主総会でも、原発事業の行く末をめぐる質問が、株主から出た。三菱重工もトルコで原発の新設計画に関わっている。

 宮永俊一社長は「日本の技術者は必死で改良する。将来はコストが下がっていく可能性が高い」と説明。設計や工事方法の見直しを積み重ねていけば、建設費を下げられるとの見通しを示した。

 株主の心配をよそに、両社とも「原発輸出」へと突き進もうとしている。しかし、どちらも採算性の不安を拭えていないのが実情だ。

● 安全対策費で建設費膨らむ 海外事業ではさまざまなリスク

 日立の計画は、英国西部のアングルシー島に原発2基を建設するもので、2020年代半ばからの稼働をめざしている。建設費の見込みは公表していないが、関係者によると、当初は「1.5兆~2兆円」だった。それがいまでは「最大3兆円程度」になる可能性があるという。

 一方、三菱重工は、トルコ北部の黒海沿岸のシノップ地区に4基をつくる計画だ。フランス企業と共同開発した新型原子炉を採用し、トルコ建国100周年にあたる23年からの稼働を予定している。こちらも建設費が「2.1兆円」から「4兆円強」にふくらむ見通しになっている。

 建設コストが上がっても、電力自由化前の日本なら採算は取れたかもしれない。顧客の電力会社が、コストを上回る価格で発注してくれると期待できるからだ。規制に守られた電力会社は、電力料金を高めに設定すれば、費用を回収できたのだ。

 だが海外には、こんな都合のよい仕組みはない。

 海外では、原発の建設と運営がセットで発注されるケースも多く、日立の英国、三菱重工のトルコもこの方式での受注だ。原発メーカーは、投じた建設費を稼働後の売電事業で回収しなければならない。

 英国には原発でつくる電気の買い取り価格を政府が保証する制度があり、日立は高値での保証を要請中だ。トルコでは三菱重工が現地政府と見積もった概算の電気料金の見通しがあるが、三菱重工は近く引き上げを要請する方針だ。

 交渉はいずれも難航する可能性が高い。

 海外特有の課題は、ほかにもある。 商慣習の異なる現地の建設会社を、きちんと使いこなせるのか。日本と遜色ない質のよい労働力を、現地で集められるのか。事故時の賠償ルールも国ごとに違うため、メーカー側がどこまで責任を負うのかを見極めておく必要もある。

 このように低くはないハードルが、いくつも待ち受けている。それでもメーカーが原発輸出に挑む目的は、いったい何なのか。

● “スジ悪”の成長戦略 東芝は「機器輸出」に転換

 もともと原発輸出は、
メーカー側から出てきた構想ではない。


 発端は、2009年に政権交代を果たした民主党・鳩山内閣による成長戦略だ。政権をとったものの「成長戦略がない」と、野党や経済界からの批判を受けて急きょ、方針が作られ、そこに「官民一体でのインフラ輸出」が盛り込まれた。原発は新幹線とともに中核に据えられたのだ。

 人口減が進む国内にとどまっていては、インフラメーカーも成長できない。だから、海外に出ていく。受注に向け、首相や大臣がトップセールスで支援する。メーカーからすれば、「もうかるから、やる」という話だった。

 11年に福島原発事故が起きたが、それでも翌年に政権を奪還した自民党の安倍内閣は、原発輸出の構想を引き継ぎ、改めて成長戦略の柱にした。「原子力ムラ」を守りたい経済産業省関係者からの働きかけもあったとみられる。

 しかし、「ノーモア・フクシマ」のうねりは、原子力ムラの想定を超えて世界に広がり、状況を大きく変えた。

 安全対策費の高騰だけではない。脱原発へとエネルギー政策を転換する国が相次ぎ、原発の需要そのものがしぼみ始めた。

 代わって欧州を中心に、風力や太陽光といった再生可能エネルギーの普及が加速。原発はクリーンエネルギーの主役ではなくなり、各国は再エネの導入を競い合うようになっている。

 原発輸出の成長戦略としての筋の悪さは、もはや明白だ。日立も三菱重工も、それは十分、わかっている。
原発輸出で「成長する」とは言わず、
強調するのは「技術の継承」だ。


・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-07-13 06:48 | 核 原子力 | Comments(0)