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by 幸田 晋

米メディア400超がトランプ大統領に反撃 それが意味するものは何か

米メディア400超が
トランプ大統領に反撃
 

それが意味するものは何か


立岩陽一郎 | 調査報道NPO「ニュースのタネ」(旧iAsia)編集長

8/19(日) 11:50より一部

https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20180819-00093659/

トランプ政権は発足の当初から様々な疑惑を指摘されてきたが、11月の中間選挙を前に更に疑惑は深まっている。その一方で、大統領は疑惑を報じるメディアを「フェイクニュース(嘘のニュース)」と揶揄し、「フェイクニュースを流すメディアは米国民の敵だ」などとする主張を展開している。こうした中、大統領から敵視されてきた米メディアが反撃に出た。(池純一郎/コロンビア大学客員研究員)

8月16日、全米の新聞などが報道の自由を訴える共通テーマで論説を一斉に掲載した。掲載を呼び掛けたのは地方有力紙ボストン・グローブ紙で、同紙によると、参加した新聞社・団体は400超にのぼる。ボストン・グローブ紙は140年以上の伝統を持ち、カトリック教会の組織的な腐敗を暴く大スクープを筆頭に周到な調査報道で知られている。

この日の同紙社説は「ジャーナリストは敵でない」と題されている。「腐敗した政体は、自由なメディアを、政府が牛耳るメディアに置き換えようと常に試みてきた」、そう書き出すこの社説は他紙の論説とあわせてサイト上に掲載された。同紙が一斉掲載を呼びかけるきっかけとなったのは、メディアを「米国民の敵」と呼ぶトランプ大統領の発言である。

大統領のツイートを集計している専門サイト「トランプ・ツイッター・アーカイブ」によると、トランプは大統領就任から8月16日までの間に4300超のツイートを発信し、うち280ほどでメディアについて「フェイクニュース(嘘のニュース)」などと攻撃している。「米国民の敵」という表現を大統領は就任直後から口にしていたが、最近になって再びツイッター上でも繰り返すようになった。いわく、

・・・(途中略)

「自由世界のリーダーがメディアに対する人々の信頼を掘り崩し続けるならば、米国内においても世界においてもその影響は巨大だ。かつて米国は、自由で開かれた政府を世界に対する模範として掲げた。(…) もはやいわれなき批判を座視していることはできない。われわれの自由な社会におけるジャーナリズムの役割はきわめて重要で、これ以上の浸食は容認できない」(ネブラスカ州『シューアード・インディペンデント』)

「自由なメディアを支えることは、真実を支えることに等しい。その真実とは、不正に手を染める人々が忌避するものも含めた、あらゆる真実である」(ミネソタ州『ダルース・ニュース・トリビューン』)

「私たちの新聞は、チェックされない権力と不当な特権との敵である」(イリノイ州『シカゴ・サンタイムズ』)

トランプ大統領が「米国民の敵」と名指しするのは、政権批判をためらわないメディアである。一方で大統領とその政策方針を支持するメディアには一貫して友好的だから、彼が「敵」と呼んでいるものは「私の敵」「政権の敵」に他ならない。今回の呼びかけに応じた新聞の一つが次のように述べているのは急所をついている。

「トランプが真摯なメディアと呼ぶものは、
何事にも疑念を抱かず、
何を調査することもなく、
真実を追い求めようとしないメディアだ。

(…)ジャーナリストは結果がどうなろうと真実を追求する。トランプはそれを恐れている」(アラバマ州『アニストン・スター』)

・・・(途中略)

しかし今回キャンペーンを主導したボストン・グローブ紙は、米国社会の厳しい現実にも言及している。

「米国においてメディアが果たす重要な役割について、かつては主義主張や世代を超えた広範な合意が存在した。しかしすでに多くのアメリカ人は、もはやそうは考えていない。今月行われた調査によると、『ニュースメディアは米国民の敵である』という感覚は共和党支持者に限れば48%に支持されている。(…)アメリカ人の4分の1超は、『悪い行いをしたメディアについて大統領は閉鎖を命じる権限を持つべきだ』と答えている」

最近ワシントン・ポスト紙が行った報道によると、トランプ大統領は就任後の1年半で実に4200超の完全に誤った、または誤解をまねく主張を行ったが、トランプ支持層に限れば、現政権が誤った主張を行ったと考える人はわずか17%にすぎない。そこには「何を事実と信じようとするか」を巡る深い分断がある。

「オルタナティブ・ファクト(もう一つの真実)」とは、かつて大統領顧問が口にして大方の失笑を招いた表現だが、いまや「オルタナティブ・ファクト」は大手を振って歩いているかのようだ、と『ボストン・グローブ』紙は嘆く。

メディアの危機は、事実を巡る党派的な分断にとどまらない。メディアが市民から縁遠くなっているという印象は、米国東部のリベラルな大学ですら教員や学生たちが当たり前に口にするようになった。メディアは自らが好む物語に沿って事実を並べ替えるが、その物語はすでに市民が違和感を抱くものになっている。そんな不満が広く共有されている。トランプ大統領がつねに標的とするニューヨーク・タイムズ紙も今回のキャンペーンに参加しているが、その社説が「自由な報道はあなたを必要としている」と題して市民にメディアとの協働を呼びかけたのは、そうした空気を反映してのことだろう。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-08-20 06:45 | 対米 従属 | Comments(0)