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by 幸田 晋

秋田と萩へのイージス・アショア配備こそ、日本を逆に窮地に追い込む「平和ボケ」

秋田と萩への
イージス・アショア配備こそ、
日本を逆に窮地に追い込む「平和ボケ」


9/14(金) 15:40配信より一部

HARBOR BUSINESS Online

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180914-00174782-hbolz-soci

 前回までにお話したように、秋田、萩へのイージス・アショア配備は合衆国悲願の弾道弾早期迎撃拠点の獲得と全方位監視早期警戒・追跡レーダーサイトの配備を兼ねるものだというのが私の見解です。あくまで私の見解に過ぎませんが、既述のように日本の弾道弾防衛にとっては期待される効果が低く、合理性がほとんどありませんので、私はかなりの確信を持っています。

 では、合衆国から見たイージス・アショアが、私が推測するように弾道弾早期迎撃拠点の獲得と全方位監視早期警戒・追跡レーダーサイトの配備だとしたら、北朝鮮や中国、ロシアにとって、それらはどのような意味を持つのでしょうか。

◆「北朝鮮の核」はなんのためか?

 まず北朝鮮です。北朝鮮にとって、日本は過去14年間の封鎖外交によって外交上の価値を持っていません。北朝鮮にとって日本は、在日米軍、在韓米軍の策源地であるということだけです。したがって、基本的に合衆国を相手にしていればよい訳で、合衆国が折れれば日本も追随すると考えています。ですから、日本が更なる制裁強化と叫んでも、カエルの面に水でしかありません。過去14年間、何ら外交上の成果を挙げていないことが何よりの証拠です。日本の対北朝鮮外交は、既に国内向けの政治宣伝材料でしかありません。

 したがって北朝鮮にとっては、対日抑止力は考える必要が無く、対米抑止力のみが課題となります。対米抑止力の一環としての対日攻撃は、日本政府の参戦意欲を削ぐことが出来ればよい訳で、核による報復と等価である核攻撃の可能性は低いです。したがって、あくまで通常弾頭による戦略目標の攻撃が脅威であって、行政の中枢、皇居、大都市、交通結節点、重要橋梁、重要トンネル、工業コンビナート、核施設、石油備蓄基地などと言った日本社会にとって大きな打撃と恐怖を与える目標且つ、核報復に直結しないぎりぎりの線を見極めようとするでしょう。日本が恐怖と被害によって混乱し、米軍の支援から一時的にも脱落すればよいだけです。

 一方で、合衆国は北朝鮮にとって国家と支配の存亡に関わる最大の存在です。合衆国さえ動かなければ北朝鮮の国家体制は安泰です。したがって、北朝鮮は合衆国との外交関係構築には熱心です。その為には、合衆国と対峙する為の切り札が必須であって、それが核と弾道弾です。

 北朝鮮が、軍の弱体化に見舞われても、国民が飢えても核開発と弾道弾開発に資源を重点的に傾斜配分してきたことは、合衆国に到達する弾道弾と核によって対米抑止力を確立する為です。この抑止力を手放せば何が起こるかは、リビアのカダフィ氏、イラクのフセイン氏を見れば自明であり、核放棄の対価として不可侵条約の締結は最低限求めると思われます。これには、ウクライナが核戦力を放棄した際のブダペスト覚書の推移が参考になります。2014年のウクライナ騒乱とそれに続くロシアによるクリミア併合が先例となり、北朝鮮はきわめて高いハードルを設定するでしょう。(参照:北朝鮮は核放棄できるか ウクライナの先例 2017.5.10 10:46 太田 清 共同通信)

 在韓、在日米軍の撤退ないし大幅縮小という形で恒久的デタント(Détente:国際関係の緊張緩和)が到来すれば、北朝鮮は核とICBM(大陸間弾道ミサイル)、IRBM(中距離弾道ミサイル)を手放す可能性がありますが、合衆国の対応としてデタントは困難で、北朝鮮は対米核抑止力の保持に固執するでしょう。それは国家と等価である程に重要であって、続・猿の惑星に出てきた核兵器を信奉する種族にも通じる徹底したものがあります。

◆秋田、萩への配備が変える日本の「戦略的な意味」

 北朝鮮が核開発に成功し、ソ連邦初期程度の対米核戦力を保有した場合、北朝鮮は対米核抑止力を保有したことになります。これは、使うことは無くてもよく、存在することに意味があります。実際、フルシチョフ時代の対米核戦力には、殆ど実体がありませんでしたが、合衆国への決定的な抑止力となりました。しかし、秋田と萩のイージス・アショアはその抑止力の効果を打ち消しかねません。そうなれば、抑止力の維持の為に排除の対象となります。平時は「正体不明の」ゲリラ・コマンド(ゲリコマ)による破壊の対象となりますが、核戦争時には、最優先の先制核攻撃の対象となります。

 合衆国で冷戦時代の1979年に作成された『First Strike』という映画が先制核攻撃によって何が起こるかを表しています。この映画は、1980年頃にNHKでも合衆国のホワイト・ホース計画(中性粒子ビーム砲)やレールガン(電磁砲)開発、そして電磁パルス(EMP)の恐怖と共に紹介されました。

 このFirst Strikeは合衆国国防省とランド研究所の協力で制作されたプロパガンダ映画で、いまでも合衆国が何を考えているかと言う点で一見の価値があります。

 先制核攻撃は、まず相手国の目つぶし、次いで迎撃戦力の破壊(当時、ABMは廃棄済みで存在せず)、報復核戦力の破壊(MAD戦略の場合)、都市の破壊を行います。北朝鮮の場合、核戦力の規模が小さい為に、確実性の高いグァム、ハワイ諸島の破壊を優先する可能性があります。合衆国本土はアラスカとカリフォルニアにGBD(地上配備のミッドコース段階への大型ミサイルによる迎撃システム)が配備されており、少数のICBMを迎撃できる態勢を整えているからです。GBDは、ロシアからの大規模核攻撃には対処できませんが、もともとGPALS(地球規模防衛構想。冷戦の終結に対応して、限定的攻撃に対する防御に重点を置いた地球規模防衛構想でブッシュ政権時の’91年年頭教書で発表された。後のクリントン政権時にTMDへと縮小される)にはじまった偶発核攻撃や新興核保有国による小規模核攻撃に対処することを目的としています。

 そして、グァムとハワイへの核攻撃を妨害し、北朝鮮の対米核抑止力を不確実化するものが秋田と萩のイージス・アショアです。つまり、これらは、最優先で破壊する対象になりますので、通常弾頭や核弾頭搭載MRBMによる飽和先制核攻撃に晒される可能性があります。陸上固定基地に対しては、照準をあらゆる場所から徹底的に事前に調査の上で設定できますので、イージス・アショアは、飽和先制核攻撃には絶好の目標となります。

 もちろん先制核攻撃は、合衆国による報復核攻撃を確実に起し、北朝鮮は全土がおよそ30分で「煙の廃虚」となります。それが合衆国のもつ核抑止力です。なお、北朝鮮が「煙の廃虚」となったあと日韓は、放射性降下物による破滅的な打撃を受けます。

 したがって現実には北朝鮮による対米核攻撃は起こり得ないと考えられますが、抑止力(この場合北朝鮮による対米抑止力)とは、「存在し」、「確実性を担保する」ことで合衆国による対北朝鮮先制攻撃を抑止することが目的ですので、実際に対米核攻撃を成功させる前提で配備されます。したがって日本は、萩と秋田へのイージス・アショア配備によって先制核攻撃の最優先対象になり得ます。核抑止と言うものは、見せつける事によって成り立ちますが、それを見せかけだけと断定できる根拠はないのです。人類が70年以上抱えている矛盾です。

 もともと先制核攻撃の対象でない日本が、自ら進んで先制核攻撃の対象となる訳です。核抑止を理解しない愚行の最たるものです。私は、真の「平和惚け」と断じています。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-09-15 06:35 | Comments(0)