スキーにはまっています。


by 幸田 晋

加速する原発再稼働の動き

加速する原発再稼働の動き

プルサーマル計画の推進に走っていることが
  
さらなる原子力の危険性を拡大

恣意的で非科学的な「基準地震動」の決め方
        
山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)



たんぽぽ舎です。【TMM:No3494】
2018年10月26日(金)午後 08:49
地震と原発事故情報
より一部

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┗■1.加速する原発再稼働の動き
 |  プルサーマル計画の推進に走っていることが
|  さらなる原子力の危険性を拡大
 | 恣意的で非科学的な「基準地震動」の決め方
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

 活断層とは、最近の地質時代に繰り返し活動し、将来も活動することが推定さ
れる断層。「新編日本の活断層」では、第四紀(約200万年前から現在までの間)
に動いたとみなされる断層を活断層と定義している。
 しかし原子力の世界では「耐震上考慮すべき活断層」として遡る年数が恣意的
に決められてきた。
 最初は5万年(科学技術庁)が、その後12万~13万年(保安院)、現在では最
長40万年(規制委)へと変わってきた。そこに科学性はない。
 現実に原発はその間も、活動した断層により繰り返し基準地震動を上回る揺れ
に襲われている。地震が軽視されてきたからだ。
 この結果、今ある原発はすべて設計、建設時に想定された基準地震動は見直さ
れ、大きくなっている。
 しかし後追いで数値が上がっても原発の基本構造は変わらない。そのため「裕
度」と呼ばれる「安全余裕」を食い潰して原発は建っている。すべての原子力施
設は、この点で既に失格である。

1.伊方原発訴訟

 四国電力伊方原発3号機の運転を差し止めた広島高裁の仮処分決定について、
広島高裁は9月25日、四電の異議を認め決定を取り消した。差し止めの法的拘束
力がなくなったことで10月27日に3号機の運転を再開すると四電は発表している。
 異議審での争点は伊方原発から約130キロ離れた阿蘇山の噴火リスクだった。差
し止めを認めた昨年12月の広島高裁の決定では「阿蘇山の噴火により火砕流が敷
地に到達する可能性が十分小さいとは言えない」とし立地不適当と判断した。
 ところが異議審では、火山に関する原子力規制委員会の審査内規である「火山
ガイド」が噴火の時期や程度を「相当程度の正確さ」で予測できることを前提と
している点を「不合理」とした一方、阿蘇山の破局的噴火については「頻度は著
しく小さく、国は具体的な対策をしておらず、国民の大多数も問題にしていない」
などと指摘した。
 「発生の可能性が相応の根拠をもって示されない限り、想定しなくても安全性
に欠けないとするのが社会通念」と、科学ではなく社会通念を判断材料として示
した。すなわち阿蘇山に関して火砕流到達根拠が示されていないから立地は不適
ではないと結論づけた。
 問題となった阿蘇第四噴火は今から9万年前に実際に起きた噴火である。日本
ではこの規模の破局的噴火は1万年に1回程度起きている。
 しかし鬼界カルデラの噴火からすでに7300年以上経過していることを考えれば、
頻度は著しく小さいとして無視するわけにはいかないはずだ。
 この決定を受けて規制委は早速「火山ガイド」を見直すとの考えを表明してい
る。

2.東海第二原発
  老朽化した人口密集地の原発を再稼働させる合理的な理由はない

 東海第二は日本原電(原電)で唯一「稼働可能性のある」原発なので、再稼働
が認められなければ原電が経営破綻する。そんなことは規制委が忖度する必要が
ないうえ、考慮することは誤りである。
 11月27日までに新規制基準適合性審査と20年運転延長審査、工事計画認可と保
安規定の認可が下りなければ廃炉になる。
 そのため規制委は「脅し」を含め原電の尻を叩きながら審査を進めている。
 運転延長が認められると40年を超える老朽原発の再稼働であり、他の原発に比
べても格段にリスクが高い。特に古い原発では不燃性のケーブルが使われていな
いため、ケーブル火災のリスクがつきまとう。新規制基準適合性審査では防火シー
トで巻くなどの対策を認めているが、すべてのケーブルを難燃性のもので作った
原発に比べ格段に安全性は劣る。
 防災対策においても30キロ圏内人口が100万人を超える(在住在勤を積算しなけ
れば本来の対策人数にはならない)原発は他にない。
 老朽化した人口密集地の原発を再稼働させる合理的な理由はない。

3.「原発再稼働の背後には」
  核燃料サイクル政策を中止しプルトニウム利用政策を変更するべきなのに
  プルサーマル計画の推進に走っていることが、
  さらなる原子力の危険性を拡大させている

 自民党は「原発依存からの脱却」と政権公約に謳いながら、内実は原子力産業
の衰退を防ぎ原発輸出を推進するために電力自由化や再生可能エネルギー政策を
壊している。原発利権と核武装への野望を底流に、米国との原子力協力協定を梃
子として推進している。
 中でもプルトニウム利用政策は高速増殖炉計画が破綻した今、プルサーマル計
画を中心にせざるを得なくなった。米国からも余剰プルトニウム問題が指摘され
たため、再稼働原発の中でもプルサーマル原発である伊方3号をできる限り早く
動かす必要があった。
 西日本の加圧水型軽水炉で再稼働をしている原発の内、高浜3号、高浜4号、
玄海3号はいずれもプルサーマル原発で、伊方3号を加えて4基、これは再稼働
している9基の半数ちかいことを見ても、恣意的な選択がされていることが分か
る。
 なお、東海第二原発も3・11以前にプルサーマル計画を申請していた(まだ認
可されてはいない)。
 核燃料サイクル政策を中止しプルトニウム利用政策を変更するべきなのに、プ
ルサーマル計画の推進に走っていることが、さらなる原子力の危険性を拡大させ
ている。
 原発再稼働を止めるには、東海第二原発のように、多くの周辺市町村の住民に
よる反対の声で包囲することが有効だ。
 東海村と茨城県だけでは決められない状況に持ち込み、千葉県、埼玉県、東京
都などの自治体が次々に再稼働反対決議を上げることも効果がある。
 その中で、反対の大きな包囲網を作り上げ、例え規制委が認可しても稼働させ
ない取り組みが必要だ。
(「思想運動」2018年10月15日1031号より了承を得て転載)


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┗■2.11/6(火)高浜原発3号機再々稼働を許すな!高浜原発ゲート前集会へ
 |  MOX燃料を使用する危険極まりないプルサーマル運転
 └──── 木原壯林(若狭の原発を考える会)

日 時:2018年11月6日(火)12時30分より
    集合場所:高浜原発の先(音海側)約300mの展望所
    抗議集会場所:高浜原発北門前
行動予定 13時より展望所で簡単な集会の後、高浜原発北門前までデモ
  行進し、ゲート前集会。13時30分頃関電への申し入れ。17時半頃終了。
主 催:「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」
連絡・お問い合わせ:木原壯林(若狭の原発を考える会)

 関電は、8月3日より定期点検中であった高浜原発3号機を、10月6日にも稼
働(いわゆる再々稼働)させようとしています。
 高浜原発3号機は、運転開始後33年を経た老朽原発で、ウラン・プルトニウム
混合酸化物(MOX)燃料を使用する危険極まりないプルサーマル運転を行って
います。

 使用済みMOX燃料の放射線量、発熱量は、ウラン燃料に比べて下がり難いた
め、使用済みMOX燃料は、使用済みウラン燃料の4倍以上の長期にわたって水
冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態になりません。
 水冷保管する使用済み燃料プールは脆弱で、冷却水を喪失し、重大事故に至り
やすいことは、福島第一原発4号機のプールが倒壊寸前であった事実からも明ら
かです。
 しかも、使用済み燃料プールは満杯に近く、空冷保管が可能になった使用積み
燃料の引き取り先もありません。
 高浜原発を運転してはならないことは明らかです。再々稼働に抗議するため、
原発ゲート前抗議集会を計画しています。是非ご参集ください。


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┗■3.書籍の紹介
 | 「戦後史の正体 1945-2012」著者 孫崎 享
 | 「日本の外務省が生んだ唯一の国家戦略家」と呼ばれる著者が
 | 日米関係の戦後70年の真実について語る
 └──── 冨塚元夫(たんぽぽ舎ボランティア)

 -日本の戦後史は、アメリカからの圧力を前提に考慮しなければ、その本質は
見えてこない。元外務省・国際情報局長という日本のインテリジェンス(諜報)
部門のトップで、「日本の外務省が生んだ唯一の国家戦略家」と呼ばれる著者が、
これまでのタブーを破り、日米関係の戦後70年の真実について語る。―

1.この本は「戦後再発見」双書第1回配本と名づけられており、第2回は「本
当は憲法より大切な日米地位協定」(前泊博盛 著)、最新配本は2017年12月刊
の第7回で「朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか」(五味洋治 著)になっています。

2.目次は下記の通りです。
 序章 なぜ「高校生でも読める」戦後史の本をかくのか
第一章 「終戦」から占領へ
第二章 冷戦の始まり
第三章 講和条約と日米安保条約
第四章 保守合同と安保改定
第五章 自民党と経済成長の時代
第六章 冷戦終結と米国の変貌
第七章 9.11とイラク戦争後の世界

3.戦後の日本外交は、米国に対する「追随」路線と「自主」路線の闘いでした。
すべての出来事をこの観点から見ると理解できます。
 しかし米国の世界戦略は時代によって、そして指導者の思想によって変わりま
すので、日本に要求する政策も変わります。
 1945年9月2日に日本は米戦艦ミズーリ艦上で降伏文書に署名し終戦になりま
す。その時に外務大臣で政府全権だった重光葵(まもる)は一貫して「自主路線」
を採り、ついに首相になれませんでした。

 一貫して「追随」路線をとった吉田茂は6年間首相を務め1951年講和条約で独
立を果たしましたが、日米安保条約と一体の行政協定を一人でサインし、「アメ
リカが望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保する」
という要求を認めました。
 一貫して対米「追随」だった吉田茂ですが、米国の歴史学者によると「1954年
の吉田内閣総辞職の原因は、吉田首相が急速な再軍備に反対したからだった」と
いいます。

 一時期米国に寵愛された人物でも、情勢が変化すると、米国にとって利用価値
がなくなります。そうするとかつて寵愛された人物は「米国にとって自分は大切
なはずだ」と考えて、新たな流れに気づかず切られるケースが極めて多いそうで
す。イランのパーレビ国王も韓国の朴大統領もそうでした。

4.歴史を見れば「自主」路線を選択した多くの政治家や官僚は排斥されていま
す。代表的な人々は、重光葵、芦田均、鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄、細川護
熙、鳩山由紀夫です。

 佐藤栄作は対米追随路線を取らずに長期政権を築いた唯一の首相と思われます。
ジョンソン大統領の要求に対し、韓国は1964年にベトナムに軍を派遣しました。
1965年にはタイ、フィリピン、オーストラリアも派遣しましたが、佐藤首相は圧
力に耐えて毅然として断りました。

 しかしそのため、首相の座は守れませんでした。小泉首相は歴代のどの首相よ
りも対米追随路線を歩みました。
 そのきっかけは、北朝鮮をめぐってブッシュ大統領から脅かされたからです。
2002年2月アメリカの意図を無視して北朝鮮を訪問し、「日朝平壌宣言」を発表
した直後のことです。
 このため日朝平壌宣言に書かれた、「国交正常化交渉を再開する」は棚上げに
なりました。鳩山由紀夫首相は「普天間基地は最低でも県外」と提言しつぶされ
ました。
 このとき、直接手を下したのは米国人ではなく、日本の官僚(外務、防衛)、
政治家とマスコミでした。

「戦後史の正体 1945-2012」著者 孫崎 享 発行所 創元社 2012年8月刊

☆孫崎 享さんは10月31日「スペースたんぽぽ」で
 「米朝トップ会談の意味と今後の見通し」を講演します。
 是非ご参加ください。

  10/31(水)「米朝トップ会談の意味と今後の見通し」

 講 師:孫崎 亨さん(東アジア共同体研究所理事・所長)
 日 時:10月31日(水)19時より21時
 会 場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F)
 参加費:800円


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┗■4.新聞より2つ
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 ◆「ノーと言わざるを得ない」 東海第二再稼働
  茨城県那珂市長 住民投票も検討へ

 日本原子力発電(原電)東海第二原発(東海村白方)の再稼働を巡り、実質的な事
前了解権を持つ那珂市の海野徹市長は24日、反原発の市民団体と面会し「(再稼働
には)ノーと言わざるを得ない」と改めて反対の意向を示した。
 民意を問う手段として市民アンケートや住民投票を挙げた。原電の姿勢が再稼
働ありきに見えるとして「危険を承知で動かすという神経が理解できない」と批
判した。
 海野市長は、市役所を訪れた「原発いらない茨城アクション実行委員会」のメ
ンバーら約30人と面会。メンバーらは、東海村など地元6市村に実質的な事前了
解権を認めるとする安全協定の解釈など7項目を尋ねる要望書を提出した。
 海野市長は、事前了解権について「1市村でも反対すれば動かせないと考えて
いるが、原電側は『とことん協議する』と訳の分からないことを言っている」と
認識のずれを指摘。(中略)
 面会後、海野市長は「今後、原電には再稼働の意向や、一市村でも反対すれば
動かせないのかという点を明確にするよう求めたい」と述べた。
              (10月25日茨城新聞朝刊27面より抜粋)


 ◆電源分散・多様化が大事     荻本和彦 (東大特任教授)
  北海道のブラックアウトは電源の一極集中が主因

 (前半略)
 ブラックアウトが起こる可能性は北海道だけでない。柏崎刈羽原発などが止ま
っている中で首都直下型地震が起こると、関東の火力発電のほとんどが東京湾岸
に集中しているため、同様のことが起こりえる。(中略)
 今回の地震の教訓は、いろいろな電源を別々の場所に配置する多様性の確保が
停電対策には必要だということだ。火力発電に限らない。(後略)
  (10/23日本経済新聞より抜粋)

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by kuroki_kazuya | 2018-10-27 06:15 | 核 原子力