スキーにはまっています。


by 幸田 晋

辛淑玉連載 たんこぶ

辛淑玉連載 たんこぶ

「週刊新社会」より

2018.10.23


http://www.sinsyakai.or.jp/sinsyakai/tankobu/tankobu.html

なんでこんなに
   哀しいんだろう
 

連載第553回


 少し前、大手の銀行の窓口で、日本語が不自由な台湾人女性が口座開設を断わられたというツイートを見た。理由は「日本語でコミュニケーションできないから」。同行者が通訳を申し出たが、断わられたという。

 私がドイツで口座を開設した時は、窓口の人が同伴してくれた友人に、「彼女はドイツ語が不自由なので少しサポートをお願いしますね」と、銀行側から言ってくれた。ここでは、移住者が地域の住民になれるよう、サポートを惜しまない。

 一昨日、階段で瓶を落として割ってしまったら、近くの住民が、それぞれ箒やチリトリ、ゴミ箱などを持ちよって、一緒に始末をしてくれた。危ないので自分でやるからと言っても、みんな笑って、さっさと片付けてくれた。

 その後すぐ、今度は駐車中の車のミラーを破損する事故を起こしてしまった。持ち主がどこにいるのかわからず途方に暮れていると通りかかった人たちが、紙に名前と電話番号を書いてワイパーに挟むといいよ、とアドバイスをしてくれた。

 警察に電話をするのにここの住所が分からない、と言うと、郵便配達の人が書いてくれた。通りかかった人は近くの家々に声をかけて車の持ち主を探してくれた。一度立ち去った人も心配で戻ってきてくれた。そして、問題を解決しようとしている私に「頑張れ、頑張れ」と応援してくれたのだ。

 車の持ち主はトルコ系の住民だった。車社会のドイツで、たとえ数日でも車を使えない不自由さを思うと、保険に入っているからといって済むものでもない。警察官に英語で「ドイツ語でごめんなさいはなんと言うのか」を聞いて、「チューリゴン」と言って謝ると、みんなが「わぁー」と笑顔になった。

 なんだか、いい日なのか悪い日なのか分からない一日だった。ただ、失敗しても周囲に助けてくれる人がいると思うと、身体のなかから温かいものがこみ上げてきた。 日本では、フジテレビが東京入管に密着して「タイキョの瞬間」という、外国籍住民を排除する番組を流していた。


 なんでこんなに哀しいんだろうか。

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by kuroki_kazuya | 2018-10-31 06:15 | 学ぶ | Comments(0)