インフルエンザの季節にハンドドライヤーを使わないでほしい理由
2018年 11月 13日
ハンドドライヤーを使わないでほしい理由
増澤陸 | チーフ図解オフィサー
11/12(月) 11:33 より転載
https://news.yahoo.co.jp/byline/rickmasuzawa/20181112-00103813/
今年もそろそろインフルエンザの流行する季節になってきました。
この季節に気をつけたいことがあります。
それは「公共の場でのハンドドライヤー」です。
ハンドドライヤーはバイ菌だらけ!
ハンドドライヤーと公衆衛生に関する論文はいくつかあるようです。
その中でも比較的わかりやすかったのが、環境感染学会誌に載っているものです。
トイレのドアの取っ手と、トイレの電灯のスイッチと、ハンドドライヤーの水受けからそれぞれ菌がどのぐらい検出されるか?を調べたものです。
グラフを見ると一目瞭然なのですが、一番汚いのがハンドドライヤーです。
ハンドドライヤーにはいずれも1,000個以上。場所によっては10万個を超える細菌があったそうです。
ハンドドライヤーには、上から温風が出てくるタイプと、手を上からいれてジェットで飛び出すタイプがありますが、この検査では両方のタイプで調べています。機種の違いよりは、「トイレの利用者数の多さ」が関係していたようです。海外の研究では、ドライヤーの直下の壁の菌の数を調べたものもあるそうですが、もちろん、菌がみつかっています。
なので、商業施設とかにあるトイレの「ブイーン」は使わないほうが良さそうです。
なお、ハンドドライヤーの最新機種としては、出た空気を完全に吸い込み、機器も殺菌消毒するすごいやつもあるようです。いまのところ、研究機関とか医療施設向けのようですが。
※ この調査の対象になった機種では、下の水受けのところに紫外線殺菌光が出ているタイプはなかったそうです。それがあるとまた違うのかも。
掲載学会誌病院における手指温風乾燥機とトイレ環境の細菌汚染調査
国立感染症研究所も「流行時は使用禁止」とのマニュアル
国内でのインフルエンザに関する最高の研究機関の一つ、国立感染症研究所の新型インフルエンザが流行したときのマニュアルの中で、ハンドドライヤーに関する記述を見つけることができます。
現状、ハンドドライヤーが原因で感染が広がった、という事実はないそうですが、病院や研究機関など、体調の弱い人や特に衛生面に気を使う必要がある場所では、ハンドドライヤーは使わないとされているようです。
引用元国立感染症研究所新型インフルエンザ対策行動計画(PDF)
ジェットタイプのバラマキ方がすごい
英・リーズ大学の調査では、ハンドドライヤーがペーパータオルに比べてどのぐらい空気中に細菌をばらまくか?という実験を行っています。
ジェットタイプはペーパータオルの27倍、菌をばらまきます。当然、空気中に菌が漂っている時間も長くなったようです。インフルエンザは飛沫感染しますので、インフルエンザに罹っている人が、自分の咳を抑えた手をジェットタイプに突っ込んだら、まるでバイオテロのようにウィルスを撒き散らすことになります。
リーズ大の記事Hand dryers can spread bacteria in public toilets, research finds
あなたがちょっと体調悪いな、とか、インフルエンザに罹ってるとか、治りかけというときには公共の場でジェットタイプを使うことはどうか控えてください。
今日、とある商業施設で撮った写真です。インフルエンザ予防にはしっかり手洗いをしましょう、という内容のポスターなのですが、貼られている場所がハンドドライヤーの隣。うむむ。正しい手洗いが重要なのはもちろんです。しかし、その後ハンドドライヤー使って汚染されたら一緒やん。
ちなみに、身近なところでは、パソコンのキーボードも細菌がたくさん見つかる場所だとか。これも使いまわしはしないか、いちいち除菌して拭き取ってから使うのが良さそうです。
ハンドドライヤーを使ったからといってすぐに病気になるわけではないですが、あえて使う必要もないかと思っています。これからはなるべく清潔なハンカチを持ち歩くようにしようと思っています。
※ なお、ダイソンなど一部のメーカーは各論文に対して反論を行っている部分もあるようです。情報ありましたら教えてください。
増澤陸
チーフ図解オフィサー
東京都在住のブロガー・ITコンサル。
経済・経営の話題を中心に図解でわかりやすく解説することに定評がある。
ブログ『それ、僕が図解します。』は、
個人運営ながら、時には月間訪問者数20万人を超える人気ブログとなっている。
世の中の分かりにくいことや納得の行かないことを少しでも減らすことを目標としている。
図解を始めたのは約20年前から。
仕事に必要な画面遷移図を描き続けているうちに、何でも図で説明できるようになった。
得意としているのは、経済・経営、不動産、税金、終活・相続など。
著書:『デジタルコンテンツ白書』編集委員(2007−2014)等
京都大学農学部卒。宅地建物取引士。相続診断士。
*****