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by 幸田 晋

古賀茂明「就活ルール廃止と外国人労働者拡大を叫ぶ無能な経団連経営者たち」

古賀茂明

「就活ルール廃止と
外国人労働者拡大を叫ぶ

無能な経団連経営者たち」


〈dot.〉

12/3(月) 7:00配信より一部

AERA dot.

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181202-00000006-sasahi-soci

「外国人労働者受け入れ拡大法案(出入国管理法改正案)」が衆議院を通過し、参議院での審査が始まった。経団連など財界の強い要請に対して、安倍政権は何が何でも今国会でこれを通して、来年4月施行を実現しようとしている。今年の通常国会(2018年1~7月)では、厚生労働省のデータ捏造事件が原因で、裁量労働制拡大の法改正に失敗したこともあり、今回の出入国管理法(入管法)改正案は絶対に落とせない法案だ。

 もちろん、それは、来年の統一地方選や夏の参議院選に向けた財界のカネと票を得るための事実上の買収策である。だから、4月1日施行は至上命令。審議時間がどんなに短くても、基礎データの捏造が露呈しても、世論が拙速な施行に大反対しても、とにかくこの臨時国会で通さなければならない。

 日本では、経団連の言いなりになってきた自民党の政策のおかげで、企業の生産性の向上が妨げられ、「人手不足」という声が出るたびに、できの悪い経営者の延命のための労働条件切り下げを促進してきた。

■経団連企業の大半はブラックだ

 今回も、他の先進国などに比べて格段に低い労働条件を維持したまま、経営を続けたいという企業経営者の声に応えて次の一手を繰り出すわけだ。今や、お隣の韓国に比べても、日本は魅力を失い、高度専門職だけでなく、単純労働者からも、低賃金ブラックの国というレッテルを貼られている。

 賃金が安い、残業時間が長い、残業賃金の割増率が低い、休みが取れない、仕事の内容がきついというような職場に人が集まらないのは当たり前だ。それを安倍政権は「人手不足」と呼ぶが、実態は、先進国らしいまともな労働条件を提示できない低生産性の企業・産業がいつまでも生きながらえているからこそ、こういう問題が出てくるのだということを、そろそろちゃんと認識すべき時なのではないか。

 外国人労働者の人権の問題が議論されているが、そもそも、日本の労働者の人権すら守られていない。いまだにサービス残業という言葉が存在し、休みを取りたくても取れないのが当たり前という状況を放置している国に、外国人労働者を迎える資格があるのかと問いたくなる。

 外国人技能実習制度の問題も、今頃大騒ぎをしているが、この制度を利用している事業場の調査をしたら、5,966事業場のうち何と70.8%、4226事業場で法令違反をしていたという調査は、今年の6月に発表されていた。普通の国なら、国会で大問題とされるはずだが、そうならないのが日本だ。なぜかと言えば、日本人の職場もほとんど同じ状態だということをみんな知っているからだ。違反をしても、「気を付けてください」というだけで終わる例が大半で、送検などしている件数は、5966件中わずか34件、0.6%しかない。つまり、ほとんどは「やり得」で終わっているのである。

 そんなに甘い対応を見れば、法律をまじめに守るのが馬鹿らしくなる。その結果、この調査は毎年行われているが、事態は悪化している。7割が法令違反をしているというのだから、日本の労働法規は機能していないと言った方が良い。日本の労働市場は無法地帯なのだ。

「それはいくら何でも言い過ぎではないか」という経営者は、胸に手を当てて考えて欲しい。自分の会社で、社員がどれだけ自由に休みを取っているか。本来は有休取得率100%が当たり前なのに、従業員1000人以上の大企業でさえ、取得率は55%、日数で年間たったの10.6日に過ぎない。もちろん、欧州では当たり前の100%消化という会社はほとんどない。逆に言えば、ほとんどの企業では、労働者が、認められた権利を行使できていないということだ。そんな会社は、欧州先進国に行けば、確実にブラックだと言われるだろう。

 これだけ建前と本音がずれている国も珍しい。表向きは、いかにも先進国標準の労働法制を有しているように見せかけて、その裏で、経団連企業でさえ、過労死が出ても頭を下げれば終わりで、社長も街中を大手を振って歩けるというのが実態だ。

■労働条件向上ができない理由を不問にする安倍政権

 11月19日の本コラム(「安倍政権の外国人単純労働者の受け入れ拡大は経団連のための低賃金政策だ」)でも指摘したとおり、低賃金、あるいは、低労働条件と言った方が良いかもしれないが、それが温存されているということは、低生産性が温存されているというのと同じだ。中小企業だけでなく、天下の経団連企業でさえ、海外の大企業と比べたら、驚くほどの条件の悪さである。

 しかし、この問題をあからさまに取り上げることは自民党にとってはタブーである。なぜなら、その話をすると、支持基盤である経団連や中小企業の経営者たちに、「あなた達が、無能だから労働条件が悪いのですね。だから人が集まらないのですね」と言うのと同じことになるからだ。

 しかし、外国人労働者の問題を議論する前に、まず、日本の労働法制の規制と執行の強化、そして、それと並んで、高い労働条件を提示できる企業だけが生き残れるような構造改革の議論を真剣に行わない限り、「人手不足」の問題への本当の答えが出ることはない。

■経団連が無能ぶりに気づかずに叫ぶ「就活ルール廃止」

 外国人労働者の問題の根底には、経団連経営者の無能ぶりがあるということを少しはお分かりいただけたかと思うが、もう一つ、経団連経営者の能力不足を示す話として、10月9日に経団連がぶち上げた「就活ルール廃止」のことを取り上げてみたい。

 経団連が廃止を主張する就活ルールとは、4年制大学の卒業生の採用スケジュールを経団連会員企業が統一する決まりだ。法的な拘束力はないが、経団連企業としての体面もあるので、あからさまにそれに反する行為をする会社は少なく、概ね守られてきた。

 その具体的な内容には変遷があったが、現行は、3年生の3月に説明会、4年生の6月に選考面接スタート、10月以降に内定ということになっている。経団連に入っていない中小企業などがこれより早く採用を始めて内定を出そうとしても、大手企業の結果がわからなければ、学生は就活に訪れてくれないので、事実上、日本の多くの企業がこのルールに縛られることになっている。

 しかし、外資系企業や一部の新興IT企業などには、経団連企業と競争しても負けないという自信があるため、3年生の3月よりも早く採用活動を始めるところがかなりある。その結果、優秀な学生は、経団連企業の内定が出る前に外資系企業などの内定を得てしまう。経団連企業から見ると、本来自分たちが採用する「はず」の優秀な学生が、就活ルールを正直に守っているせいで採用できなくなるのはおかしいということになる。「正直者が馬鹿を見る」制度になっているという理解だ。

 そこで、経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は2021年卒からの就活ルール廃止を表明した。これに対して、急に変更すると多くの学生が混乱するという懸念が強まり、政府からも即廃止には「待った」の声がかかった。そして、とりあえずは、今の就活ルールが維持されることになった。

 ただし、これはとりあえずの話で、経団連が強く要望している以上、いずれは就活ルールが廃止される可能性は高い。しかし、それで経団連企業の経営者が望む結果につながるかというと、そうはならないと私は見ている。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-12-04 06:25 | 資本 | Comments(0)