スキーにはまっています。


by 幸田 晋

「原発は正しい」というフィクションを守るために官僚はウソをつく

「原発は正しい」という
フィクションを守るために


官僚はウソをつく


――『除染と国家』著者・日野行介インタビュー【後編】

12/15(土) 6:10配信より一部

週プレNEWS

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181215-01077640-playboyz-soci

2011年3月の福島第一原発の事故後、大量にまき散らされた放射性物質が福島県をはじめ周辺地域に降り注いだ。政府は放射能汚染対策として、汚染された地面の表土を削り取るなどの「除染」を行なってきたが、その費用はトータル4兆円に及ぶと試算されている。

そして、除染によって発生した大量の「汚染土」を環境省は「資源」と言い張り、公共事業などに再利用しようという計画を立てて秘密裏に会議を重ねてきた。環境省の担当者に直撃取材を重ね、会議議事録の改ざんを突き止め、『除染と国家 21世紀最悪の公共事業』(集英社新書)を上梓した新聞記者・日野行介氏に、前編に続き核心の話を聞いた。

* * *

■除染の目的は原発事故を幕引きするためだった?
――この本で特に出てくるのは汚染土の再利用という問題ですけども、最初に「汚染土を再利用しなきゃいけない」という結論ありきで進めようとするわけですが、彼らはなぜ、そんな結論を最初に作ったんでしょう?

日野 除染をやらなきゃいけないからですね。

――除染を続けていくためには、汚染土がどんどん貯まっちゃうと邪魔だから、再利用でごまかそうと?

日野 そうですね。普通に考えたら、全くばかげた話なわけですよ。放射能で汚染されている土を取って、またそれを集めて、中間貯蔵施設に持っていきますよと言いながら、その裏で、もう一度ばらまこうとしているわけです。

詳しい大学の先生に取材したら、「これは多分、中間貯蔵施設に持っていかないで、汚染土の仮置き場から直接持って行って、そのまま再利用するつもりだよ」と言ってました。おそらくそうなると思います。「じゃあ、除染って、いったい何のためにしたんですか?」という話ですよね。

――だったら、最初からそこに置いといて、住民を避難させれば済むことですよね。4兆円ものお金を使ってそんなことするくらいなら賠償に充てたほうがよかった。

日野 そうなんですよ。でも、彼らは除染をしなきゃいけなかったんですね。

――なぜ除染をしなきゃいけなかったんでしょう?

日野 原発事故を幕引きするためです。6年で幕引き、というのが最初から決まってたんです、おそらく。

――原発事故後、6年で幕引きというシナリオ?

日野 そう。帰還困難区域というのが2011年末から5年後に20ミリシーベルトを下回らない区域、ということです。だから「原発事故から6年で事故を幕引きする」というのは最初から決めてるんですよ、国の政策として。

2011年4月11日に避難指示区域の基準を「緊急時ですから」といって20ミリシーベルトに決めた。だから、その20ミリシーベルトを押し通さなきゃいけなくなった。ただそれだけの話です。本当にバカげてます。自縄自縛としか言いようがない。

■福島の人たちは「無用の被曝」を引き受ける理由なんか、まるでない
――政府は「年間20ミリシーベルトを下回ったから、もう帰りなさいよ」と、今まで避難させていた人たちを福島に戻そうとしてます。でも日本では年間20ミリシーベルト以下を基準としてますが、チェルノブイリ原発の周辺では、今でも年間5ミリシーベルトが居住禁止になってますよね。日本政府の言うように20ミリシーベルトで帰還させて大丈夫なんでしょうか?

日野 そこは「安全か、安全じゃないか」と議論すべき問題じゃなくて、たとえ何ミリシーベルトであっても、被曝させられるいわれはないわけですよ。福島の人たちは「無用の被曝」という言い方をしますけど、無用の被曝を引き受ける理由なんか、まるでないわけです。


・・・(途中略)

――名目上は避難者がいなくなったと。

日野 そうそうそう。実態はどうあれ。すると、あと残った、事故を可視化する最大のものは、汚染土です。

■「原発は正しい」というフィクションを守るために、官僚は一方的にウソをつく
――それで環境省は、汚染土を日本全国津々浦々の工事現場とかで使おうと思ってるんですか?

日野 いや、特に福島以外ではできるとは思ってないでしょう。今、ちょっと原発から離れて土木工事全体で見たら、土なんてそこら中に余ってるわけですから。

――そうですよね。わざわざ福島から持っていく必要ない。別に土なんか日本中あるわけだから。

日野 それをわざわざ引き取らせるには、ある意味ストーリーが必要になるわけです。「福島から持ってきた土を使ってますよ、復興に役立ってますよ」というストーリーが。でも普通に考えて、自分の身の回りに福島の除染でできた汚染土がやって来たらやっぱり嫌ですよね。嫌だし、それを引き受ける理由なんかない。「無用の被曝」です。

「この事故の責任がどこかで取られなければいけない」というのは誰しも思っているでしょうけど、事故の規模が大き過ぎて、たとえば「国の責任だ」と言ったら、国のお金を出して原発事故の処理をし、汚染土の中間貯蔵施設も、なぜか国が作ることになっている。でも国のお金って、国民が払ってる税金ですよね。「じゃあ、国じゃなく東電の責任じゃないのか」と言って東電にお金を出させても、けっきょく東電は東電で、国民から徴収する電気料金で成り立っているし。どっちにしても国民が負担を押しつけられているだけじゃないですか。これでは責任を取ったことにならないですよね。

だからこそ、やっぱり「原発政策が誤っていた」ということをちゃんと明確にしなきゃいけないと思うんです。それを明確にしない限り、責任を取ったことにはならない。

――でもそれを明確にしたら、今どんどん進んでいる原発再稼働もできなくなりますね。

日野 「原発は安全だ」とか、「原発政策は正しい」というフィクションを壊さなくちゃいけなくなる。この辺がもう無限ループに近いんですけどね。「原発は正しい」というフィクションを守るために、官僚は一方的にウソをつき、文書の改ざんもして、「何でもいいからとにかく進める」という形で国策が生じて、無理を通せば道理引っ込むで、民主主義を壊しているという、もう悪循環ですね。

■2011年以降、報道はプロレスなのか、格闘技なのかということが問われている
――そういう官僚の体質というのが、南スーダンに派遣された自衛隊の日報隠し問題であるとか、モリカケ問題でのいろいろな改ざんや隠蔽につながっている、と。

日野 ええ。はっきり言えば、国民をナメてるんだと思うんです。もう「別に、だまそうが何しようがいいし、バレたところで何とかつじつまは合うさ」ぐらいの感じで。

――ごまかせばいい、と。もう完全に今の政権の体質になってますね。

日野 なってますね。

――世論操作だけは非常に上手な政権ですよね。その辺が非常に巧妙化している。

日野 ええ。メディアもそれに使われている面はありますね。

――本書で環境省の官僚の秘密会議議事録改ざんについて、日野さんが取材を進めていく姿が、インタビュー取材というより、裁判での尋問のようで、迫力がありました。

日野 そこはやっぱり、担当者本人に直撃して追い詰めていかないことには報道にならないので。だから推薦文で金平(茂紀)さんに「除染にまつわる官僚、学者たちの密議に突っ込んでいく格闘技をみた思いだ」と書いていただいたときは、すごくうれしかったですね。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-12-16 06:45 | 学ぶ | Comments(0)