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by 幸田 晋

交渉のプロが「相手の弱点」を見つける方法とは?

交渉のプロが
「相手の弱点」を見つける方法とは?


1/19(土) 6:00配信より一部

ダイヤモンド・オンライン

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190119-00189274-diamond-bus_all

 ビジネスの成否は「交渉力」にかかっている。アメリカの雑誌で「世界で最も恐れられる法律事務所」に4度も選ばれた法律事務所の東京オフィス代表であるライアン・ゴールドスティン米国弁護士に、『交渉の武器』(ダイヤモンド社)という書籍にまとめていただいた。本連載では、書籍から抜粋しながら、アップルvsサムスン訴訟を手がけるなど、世界的に注目を集めるビジネスの最前線で戦っているライアン弁護士の交渉の「奥義」を公開する。

● 事前調査を怠るのは"自殺行為”に近い

 交渉は、事前の準備が非常に重要だ。
 あらかじめ、交渉において必要な知識をインプットしておかなければ、交渉を有利に進めることはできない。知識の質と量で負けたときに、交渉に負けると言っても過言ではないのだ。だから、私は事前調査にできる限りの時間と労力をかけるようにしている。

 調査するポイントは大きく2つある。
 まず第一に、争点となるテーマに関する調査だ。
 特許権を侵害された場合であれば、「特許侵害の事実」「自社の特許の有効性」「法律の規定」「類似ケースの判例」「賠償金額の相場」などについて、詳細に調査・分析しておかなければならないのは言うまでもないだろう。

 この調査に「抜け漏れ」があれば、説得力に欠ける主張にならざるをえず、相手の反論に立ち往生するのは明らかだ。これを怠るのは“自殺行為”と言っても過言ではない。だから、相手方も万全の準備を整えて交渉に臨んでくると考えておいたほうがいい。「勝つため」というよりも「負けないため」に絶対に押さえておくべきポイントと言ってもいいだろう。

 そこで重要になるのが、第二のポイントである。
 交渉相手に関する情報をできる限り調べ上げるのだ。そして、「交渉相手がどのような状況に置かれているのか」を深く洞察する。「相手が何を求めているか?」「相手が恐れているのは何か?」「相手の弱点は何か?」といったことが見えてくれば、交渉を有利にする戦略を立てることができるようになるのだ。

・・・(途中略)

● 相手の「弱み」を利用する

 とはいえ、まだ噂の段階だ。真に受けてはいけない。
 しかし、これが本当ならば交渉は明らかに私たちに有利だ。なぜなら、実質的に合併によって救済されるのは相手企業だからだ。であれば、特許侵害で訴訟に持ち込まれて、大きなトラブルを抱え込むのは是が非でも避けたいはず。こちらの要求を飲む可能性が高いということだ。

 そこで、私は、情報の確度を確かめるために、交渉の場で強い要求をぶつけることにした。かなり高額の損害賠償請求を提示するとともに、これに応じないならば、すみやかに訴訟手続きに入ると突きつけたのだ。そして、相手の反応に目を凝らした。

 こちらが提示したのは、かなり高額の損害賠償請求だ。
 もしも、合併情報が偽りであれば、「冗談じゃない」と抵抗する姿勢を示すはずだ。しかし、彼らは動揺を隠せなかった。そして、損害賠償請求が過大であると反論を加えることに終始するだけで、訴訟の話には触れたがらなかったのだ。トラブルに発展するのを避けたがっているのは明らかだった。これで、私たちは確信を得た。合併情報は本当なのだ、と。

 もちろん、その後の交渉は一貫して有利に展開。相手企業は賠償金を減額すべく粘ろうとしたが、「訴訟カード」をちらつかせれば、相手も強気には出られない。結局、異例のスピードで高額の損害賠償を勝ち取ることに成功。「相手の置かれている状況」を把握することで、圧倒的なパワーを手にすることができたのだ。

 こう言ってもいいだろう。
 交渉の争点にばかり目を奪われてはならない、と。
 交渉の争点は、いわば“局地戦”である。そこにばかり集中するのではなく、「相手が置かれている状況」を俯瞰したうえで、大きな視野で交渉戦略を考えることが大切だ。

 先ほどの例で言えば、「企業合併」は交渉の争点でもなんでもない。しかし、相手にとっては「企業合併」はきわめて重要なテーマであり、それが特許侵害に関する交渉にも大きな影響を及ぼすのだ。

ライアン・ゴールドスティン
by kuroki_kazuya | 2019-01-21 06:34 | 学ぶ