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by 幸田 晋

生誕100年 やなせさんの「正義」

生誕100年 

やなせさんの「正義」


東京新聞 【社説】 2019年2月8日より一部

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019020802000163.html

 六日は漫画家の故やなせたかしさんの生誕百年の日だった。代表作「アンパンマン」をはじめイラストや詩など、多彩な創作を残した。それを貫く生命の尊重と「正義」を問う心に思いをはせたい。

 一九一九年生まれのやなせさんは二〇一三年、九十四歳で死去。五十代で描き始めた「アンパンマン」は、版元のフレーベル館によると、絵本や関連の本を合わせ八千百万部の大人気シリーズだ。

・・・(途中略)

 アンパンマンは、弱い者いじめなど悪行を繰り返す「ばいきんまん」と戦う。だがいきなり攻撃せず、まず「悪いことはやめろ」と説得も試みる。得意の技「アンパンチ」は、悪者を吹き飛ばすが、命を奪うまでの威力はない。「排除はするけど、殺さないのだ」とやなせさんは説明した。自分から攻撃をしかけることもない。

 そこに脈打つのは、敵とも対話を心がけ、武力の行使はできるだけ抑えようとする意志だ。自ら敵をつくり、「自衛のための戦い」を唱えて軍拡を競い、先制攻撃さえ許容する現代の風潮とは、まるで異なる思想を読み取れよう。

・・・(途中略)

 アンパンマンは戦っても相手を殺さず、共存を果たす。敵も含めて生きるものをみな慈しみ、「善と悪とはいつだって、戦いながら共生している」と説いたやなせさんの人生哲学の反映だろう。また悪役のはずのばいきんまんは、時に善行もする。すべてを「善か悪か」と単純に分けることはできない、と告げてもいるようだ。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2019-02-09 06:25 | 学ぶ