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by 幸田 晋

今治市「山本大臣就任祝賀会」問題での“不可解な対応”、加計学園問題への影響も

今治市
「山本大臣就任祝賀会」問題での

“不可解な対応”、
加計学園問題への影響も


郷原信郎 | 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

2/15(金) 17:54より一部

https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20190215-00114974/

 菅良二今治市長が、山本順三大臣就任祝賀会の発起人となり、会費の受領等の事務局事務を市職員に行わせた問題、昨日(2月14日)に【菅今治市長が市職員に命じた「大臣就任祝賀会」全面サポート】と題する記事で詳しく解説したが、同日、この問題は、衆議院予算委員会でも取り上げられた。

 山本大臣は、就任祝賀会については、「招かれて出席しただけ、詳細は知らない」、祝賀会の会費の残りから現金10万円が山本氏側にわたったと報じられていることについては、「報道は全くの事実無根であり、当日は目録を頂戴したが、中身は空っぽの目録だった」と答弁した。

 また、この問題についての今治市側の対応について、朝日新聞が以下のように報じている。


 菅市長は14日、「社交儀礼であり、市の事務の範囲として認められている。政治的行為に該当しない」などとするコメントを発表した。片上課長は取材に対し、違法性を否定する根拠として、奈良県上牧町が大臣就任祝賀会を主催して公費支出し、住民が違憲として返還を求めた訴訟で「社交儀礼の範囲を逸脱しているとまでは断定できない」などとした1989年の最高裁判例を挙げた。

 注目すべきは、(1)週刊文春の取材に対して菅市長が認めている「10万円授受」について、山本大臣が明確に否定する答弁を行ったこと、(2)今治市が、市職員の祝賀会への関与を「市の事務」だとしたことの2つだ。

 私が、週刊文春にコメントした時点では、「市長個人が発起人となった大臣就任祝賀会」という「政治的行為」に、市役所職員に関与させたという、「市長個人の問題」であり、「市職員に政治的行為に関わることを命じることのパワハラ的問題」と考えていた。

 ところが、今治市は、市職員の関与を「公務」と認めた。そして、一方で、「現金10万円の授受」に関して菅市長と山本大臣の供述が相反している。それによって、この問題は、今後重大な問題に発展する可能性が出てきた。

・・・(途中略)

 今治市は、市職員の関与を「公務」と認めたことで市の行政への信頼が損なわれ、市長への信頼も損なわれる。それが、今後、今治市にとって大きな悪影響を及ぼすことは必至だ。

 今治市が獣医学部新設に関して36億円の補助金を加計学園に提供したことに関して、補助金が不正な支出だとして住民訴訟が提起されている。

 「地方自治体の行政は、法令に基づいて適正に行われている」というのが世の中の一般的認識だ。しかし、今回、菅市長が発起人となった大臣就任祝賀会に市職員を動員した問題で、菅市長が追及され、市当局は、市長の行為を正当化するために、市職員の関与を「公務」だなどと主張するという今治市の姿勢が明らかになると、菅市長が強いリーダーシップで進めてきた加計学園への補助金の支出にも、重大な疑念が生じることになりかねない。


郷原信郎
郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士


1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。
by kuroki_kazuya | 2019-02-16 06:25 | オンブズマン