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by 幸田 晋

ベヨネース列岩に噴火警報 観測難しい海底火山、過去に悲劇も

ベヨネース列岩に噴火警報
観測難しい海底火山、過去に悲劇も

島村英紀(地球物理学者)

たんぽぽ舎です。【TMM:No3087】
2017年5月27日(土)午後 08:53
地震と原発事故情報
より一部

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┗■2.ベヨネース列岩に噴火警報 観測難しい海底火山、過去に悲劇も
 |  警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識その198
 └──── 島村英紀(地球物理学者)

 このところ、首都圏から南に延びる火山が騒がしい。3月末、気象庁が「ベヨ
ネース列岩」に噴火警報を出した。4月下旬には西之島新島の噴火が1年半ぶり
に再開して、新島は約170メートル四方ほど拡大した。
 ベヨネース列岩は東京の南約400キロ。西之島の約半分のところだ。19世紀半ば
にフランスの軍艦「ベヨネーズ」が発見したのでこの名がついた。
 今回、ベヨネース列岩で変色海域が見つかった。海が黄緑色になっていて、海
底噴火が始まったのだ。その後も泡が海面上に見つかるなど、盛んな活動が続い
ている。

 ここは海面上にいくつかの岩礁が突き出ているほか、海面下にもいくつもの岩
がある。だが、この付近の海底は水深1000メートルを優に超える。つまり高い火
山の山頂がいくつもある海域なのである。
 海上に見えていない海底火山も多い。ベヨネース列岩も、かつての噴火で海上
に島が現れたことも何度かあるが、海の浸食で削られて、その後海上からは消え
てしまった。

 このベヨネース列岩では、かつて悲劇が起きた。1952年のことだ。海上保安庁
の観測船「第五海洋」が海底火山の噴火で吹き飛ばされた。船はバラバラになり、
船に乗っていた31名全員が殉職した。

 火山がこれから噴火するかどうか、その動向を調べる大事な手段の一つは山体
膨張だ。マグマが上がってきて山体が膨らんでいけば、噴火が近いことになる。
 陸上の火山ならば傾斜計やGPS測定装置も設置できるので山体膨張は見える。
遠くからでも表面温度も測れる。だが海底火山では観測の手段が限られる。山体
膨張も、観測船が真上に行って測深儀(そくしんぎ)を使って水深を測るしかな
いのだ。

 測深儀による水深の測定は超音波を船から海底に向かって出し、反射波が帰っ
てくる時間から水深を知るものだ。船が火山の上にいなければ測れない。第五海
洋もほぼ間違いなく、水深の測量中に突然の噴火に遭ったに違いない。

 じつは1989年にも海上保安庁の観測船「拓洋」が吹き飛ばされるところだった。
観測船は群発地震が続いていた伊豆半島・伊東沖で海底地形の変化を測っていた。
この調査で拓洋は海底から高さ25メートル、直径450メートルの円錐形をした海丘
を発見していた。以前にはなかったものだ。

 そして引き続き周辺の調査をしていたときに、この海丘がいきなり噴火したの
だった。手石(ていし)海丘の噴火である。

 もし真上にいたら第五海洋事故の再来になったかも知れない。

 この事件以来、海上保安庁は無人の小型観測艇を開発した。海底火山の噴火は
予測できないものだけに、船を真上に持っていくのはあまりに危険だからである。

 さて、このベヨネーズ列岩や、噴火を再開した西之島新島がどうなるのか、地
球物理学者は重大な関心を持って見守っているのである。

(島村英紀さんのHP「 http://shima3.fc2web.com/ 」
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より2017年5月19日の記事)

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by kuroki_kazuya | 2017-05-28 06:15 | 地震 大災害