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by 幸田 晋

原発事故後、先天性心疾患の手術件数14%増

原発事故後、
先天性心疾患の手術件数14%増

世界的権威が認めた
衝撃の事実 

日本のメディアが
報じない怪


飯塚真紀子 | 在米ジャーナリスト

4/9(火) 8:38より一部

https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20190409-00121301/

 平成が間もなく終わりを迎えるが、平成最大の事件というと、日本においては、東日本大震災と福島第一原発事故をおいて他にないだろう。その福島第一原発事故に関係した重要な事実について、平成から「令和」に変わる前に伝えておきたい。

 福島第一原発事故から8年目を迎えた数日後、アメリカ3大ネットワークTV局の一つであるCBSテレビが衝撃的なニュースを伝えた。

 「新たな研究が、福島第一原発事故と乳児の心臓手術数急増の関連を示唆。先天性心疾患の手術を受けた1歳未満の乳児の数が、14%以上急増」

 これは、3月13日、心臓病研究の世界的権威「アメリカ心臓協会」が発行している国際科学誌「ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ハート・アソシエーション」が「福島原発事故後の複雑心奇形の全国的増加」と題した研究論文を掲載したことを受けて、報道されたニュースだった。 

 タイトルからわかる通り、論文は「福島第一原発事故後に、複雑心奇形という先天性心疾患を持って生まれた乳児が、日本で全国的に増加した」という“衝撃的な事実”を伝えている。論文の中心的な著者は、名古屋市立大学で生態情報測定学を研究する村瀬香准教授である。

報じない日本の主要メディア

 アメリカの大テレビ局が報じた重大なニュース。しかし、見たところ、日本の主要メディアでは報じられていない。不思議に思い、筆者は村瀬氏にコンタクトし、話をきいた。

 村瀬氏が残念そうにこう話す。

「実は、メディアに大きく取り上げられるだろうと思い、研究チームはスタンバイしていたんです。しかし、結局、報じてくれたのはアメリカのロイター通信やCBSニュース。日本の大手通信社や大手新聞社の記者は取材には来たものの、なぜか報じていません。唯一、大学の地元という縁からか、中日新聞だけは取り上げてくれました」

 こういった科学研究論文は、同じ研究者から審査を受け、承認されると、科学誌に掲載されるが、村瀬氏の論文も同じ過程を経て掲載された、研究者お墨付きの論文だ。しかも「アメリカ心臓協会」は心臓病の研究ではアメリカ最大で、世界的にも信頼性の高い機関である。

 研究論文の結果は衝撃的だが、世界的権威が認めた重要な研究論文を、原発事故が起きた当事国・日本の主要メディアが報じていないのは、ある意味、もっと衝撃的だ。日本のメディアは何を考えているのだろう? オリンピックや選挙を控えて神経質になっているお上の顔色をうかがっているのだろうか?

・・・(途中略)

原発事故の影響以外に説明できない

 チェルノブイリの原発事故後、旧ソ連や近隣諸国では先天性心疾患の発生率の増加が報告されたが、同じ状況が今、日本でも起きているということなのか?

 この結果について、村瀬氏はこう解説する。

「原発事故との関連は不明です。また、原発事故との関連の有無を証明することは不可能です。しかし、原発事故以外に、複雑心奇形の手術件数の急増に結びつく要因が考えられないのです。例えば、新たな手術法が開発された場合、その手術による手術数の増加は起きるかもしれませんが、新手術というのは通常徐々に浸透していくものなので、このように急増することはありえません。

・・・(途中略)

 しかし、全国の複雑心奇形の手術数には、福島県から県外に移住し、県外で母子手帳をもらった妊産婦が出産した複雑心奇形を持つ乳児の手術数も含まれている。

睾丸の位置異常も増加

 増えているのは複雑心奇形の手術だけではない。

 村瀬氏が、35都道府県の94の病院で、「停留精巣」と呼ばれる、睾丸の位置に異常がある精巣を持って生まれた乳児に対して行われた手術退院件数を調べると、その数は、原発事故後は事故前と比べて平均13.4%も増加していた。村瀬氏がこの結果について書いた研究論文は、昨年5月、国際科学誌「Urology(ウロロジー)」に掲載された。

 そもそも、村瀬氏はなぜこのような研究をするに至ったのか? それについて、村瀬氏はこう話す。

「もともと、原発事故前からオオタカという野鳥の生態を研究していたのです。そのオオタカの7、8割あった繁殖成功率が原発事故後は5割に下がったことがわかり、それについて論文を書きました。この時もある大手新聞の記者が取材に来たのですが、なぜか掲載されませんでした。

 また、イノシシの研究も行った結果、原発事故後、オスなのに精巣がないイノシシが数多く見つかったのです。先天性奇形という疾患かもしれない。そう思い、調べようと思ったのですが、イノシシではサンプル採取が難しいため、入手可能な人のデータで調べてみようと考えたのが、停留精巣や複雑心奇形の研究に着手したきっかけです」

なくなった研究費枠

 村瀬氏は現在、イノシシのDNAや臓器が受けた放射線影響について研究を行なっている。「衝撃的な結果なので、信じてもらえるかわからない」という研究結果をすでに得ているというが、今後、研究を続けていけるかどうか不安も感じている。先天性奇形の研究を始めてから、科学研究費という国が出す研究資金を得るための申請書を出しても、申請が通らなくなったという。また、福島原発事故による被曝の影響を研究する研究費枠もなくなってしまったという。

・・・(途中略)

 原発事故と疾患の因果関係を立証することは非常に困難かもしれない。しかし、政府や関係機関はこの結果を真摯に受け止めて、さらなる研究や調査をする必要があるのではないか。

・・・(途中略)

飯塚真紀子
在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学教育学部英語英文科卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会問題、トレンドなどをテーマに、様々な雑誌に寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲルなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。
by kuroki_kazuya | 2019-04-10 06:54 | 学ぶ