スキーにはまっています。


by 幸田 晋

カテゴリ:資本( 481 )

日本はいつから“植民地”にされた!? 

「カルロス・ゴーン」逮捕に見る
フランスの“上から目線”気質


12/8(土) 8:00配信より一部

デイリー新潮

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181208-00552795-shincho-bus_all

 今回の逮捕劇は、カルロス・ゴーン前会長(64)が、日産自動車内でいかに独裁者として君臨していたかをも浮き彫りにした。今年で創立85年を迎えた日産は、代々創業一族がトップに就く同族企業というわけではない。が、今回捕まった彼と同じように権力を振りかざした者が、過去の日産の歴史上に存在していた。

経済ジャーナリストの話。

「日産には、古くは1957年から16年間に亘って川又克二社長が居座っていました。社長退任後も会長、相談役を務めたほか、経団連、日経連の副会長にも就いていたのです」

 その川又氏とタッグを組み、1960年代から20年以上に亘って日産を支配し、“影の天皇”とまで言われたのが、日産の労組と日産グループ労組の連合体である自動車労連の塩路一郎会長だ。

「日産は激しい労働争議を続けてきた過去があったため、当時、過度の労使協調になっていました。それを武器に川又氏と蜜月関係になると、事実上、日産を牛耳ったのです」

 一時は重役の半分近くを労組経験者で固め、人事権も掌握していたという。

「年収は2千万円近くで、7LDKの豪邸住まい。プレジデントとフェアレディZを乗り回し、銀座で豪遊していました。さらに、若い女性と4千万円もする高級ヨットでクルージングし、やりたい放題の労働貴族だったのです」(同)

 まるで今回、明らかとなったゴーンの姿を鏡に映したかのようである。そんな状態を疎ましくとらえたのが川又氏の2代後に社長となった石原俊氏。彼もまた、経済同友会トップを6年も務め、財界にも君臨した。経済部記者の話。

「海外進出を進める石原社長と現状維持を求める塩路さんは、激しく対立しました。最終的に、塩路さんを放逐することに成功した石原社長は、国際化に大きく舵を切った。ところが、海外投資が、ことごとく大失敗となったのです」

 この時の赤字が後々へのツケとなり、延(ひ)いては大借金の挙句、ルノーからゴーンを招くことに繋がったとされている。つまり、今回の事件は、歴代の独裁者が招いた負の連鎖でもあるのだ。

西川社長は「ゴーン・チルドレン」という下剋上

「会社として断じて容認できない」「負の側面である」

 ゴーン前会長の逮捕を受けて記者会見に臨んだ西川廣人社長(65)は、前会長を痛烈に批判して見せた。だがしかし、自動車業界に詳しい経済評論家の福田俊之氏によると、

「西川社長は、ゴーンの側近を務めた志賀俊之取締役と並ぶ、ゴーン・チルドレンの一人だったと言っても過言ではありません。彼はゴーン以前の辻社長時代にも、秘書として工場閉鎖を見てきていますから、ゴーンが大リストラを断行した際にも片腕として活躍。その分、信頼が厚かったと言えます」

 つまり、今回の逮捕劇を“本能寺の変”に喩えるなら、西川社長はさしずめ、“明智光秀”。ゴーン前会長の解任によって、下剋上は成功したかに見えるが、今後、西川体制が始まるかといえば、そうとも限らないという。自動車評論家の国沢光宏氏が解説する。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-12-09 06:28 | 資本 | Comments(0)
古賀茂明

「就活ルール廃止と
外国人労働者拡大を叫ぶ

無能な経団連経営者たち」


〈dot.〉

12/3(月) 7:00配信より一部

AERA dot.

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181202-00000006-sasahi-soci

「外国人労働者受け入れ拡大法案(出入国管理法改正案)」が衆議院を通過し、参議院での審査が始まった。経団連など財界の強い要請に対して、安倍政権は何が何でも今国会でこれを通して、来年4月施行を実現しようとしている。今年の通常国会(2018年1~7月)では、厚生労働省のデータ捏造事件が原因で、裁量労働制拡大の法改正に失敗したこともあり、今回の出入国管理法(入管法)改正案は絶対に落とせない法案だ。

 もちろん、それは、来年の統一地方選や夏の参議院選に向けた財界のカネと票を得るための事実上の買収策である。だから、4月1日施行は至上命令。審議時間がどんなに短くても、基礎データの捏造が露呈しても、世論が拙速な施行に大反対しても、とにかくこの臨時国会で通さなければならない。

 日本では、経団連の言いなりになってきた自民党の政策のおかげで、企業の生産性の向上が妨げられ、「人手不足」という声が出るたびに、できの悪い経営者の延命のための労働条件切り下げを促進してきた。

■経団連企業の大半はブラックだ

 今回も、他の先進国などに比べて格段に低い労働条件を維持したまま、経営を続けたいという企業経営者の声に応えて次の一手を繰り出すわけだ。今や、お隣の韓国に比べても、日本は魅力を失い、高度専門職だけでなく、単純労働者からも、低賃金ブラックの国というレッテルを貼られている。

 賃金が安い、残業時間が長い、残業賃金の割増率が低い、休みが取れない、仕事の内容がきついというような職場に人が集まらないのは当たり前だ。それを安倍政権は「人手不足」と呼ぶが、実態は、先進国らしいまともな労働条件を提示できない低生産性の企業・産業がいつまでも生きながらえているからこそ、こういう問題が出てくるのだということを、そろそろちゃんと認識すべき時なのではないか。

 外国人労働者の人権の問題が議論されているが、そもそも、日本の労働者の人権すら守られていない。いまだにサービス残業という言葉が存在し、休みを取りたくても取れないのが当たり前という状況を放置している国に、外国人労働者を迎える資格があるのかと問いたくなる。

 外国人技能実習制度の問題も、今頃大騒ぎをしているが、この制度を利用している事業場の調査をしたら、5,966事業場のうち何と70.8%、4226事業場で法令違反をしていたという調査は、今年の6月に発表されていた。普通の国なら、国会で大問題とされるはずだが、そうならないのが日本だ。なぜかと言えば、日本人の職場もほとんど同じ状態だということをみんな知っているからだ。違反をしても、「気を付けてください」というだけで終わる例が大半で、送検などしている件数は、5966件中わずか34件、0.6%しかない。つまり、ほとんどは「やり得」で終わっているのである。

 そんなに甘い対応を見れば、法律をまじめに守るのが馬鹿らしくなる。その結果、この調査は毎年行われているが、事態は悪化している。7割が法令違反をしているというのだから、日本の労働法規は機能していないと言った方が良い。日本の労働市場は無法地帯なのだ。

「それはいくら何でも言い過ぎではないか」という経営者は、胸に手を当てて考えて欲しい。自分の会社で、社員がどれだけ自由に休みを取っているか。本来は有休取得率100%が当たり前なのに、従業員1000人以上の大企業でさえ、取得率は55%、日数で年間たったの10.6日に過ぎない。もちろん、欧州では当たり前の100%消化という会社はほとんどない。逆に言えば、ほとんどの企業では、労働者が、認められた権利を行使できていないということだ。そんな会社は、欧州先進国に行けば、確実にブラックだと言われるだろう。

 これだけ建前と本音がずれている国も珍しい。表向きは、いかにも先進国標準の労働法制を有しているように見せかけて、その裏で、経団連企業でさえ、過労死が出ても頭を下げれば終わりで、社長も街中を大手を振って歩けるというのが実態だ。

■労働条件向上ができない理由を不問にする安倍政権

 11月19日の本コラム(「安倍政権の外国人単純労働者の受け入れ拡大は経団連のための低賃金政策だ」)でも指摘したとおり、低賃金、あるいは、低労働条件と言った方が良いかもしれないが、それが温存されているということは、低生産性が温存されているというのと同じだ。中小企業だけでなく、天下の経団連企業でさえ、海外の大企業と比べたら、驚くほどの条件の悪さである。

 しかし、この問題をあからさまに取り上げることは自民党にとってはタブーである。なぜなら、その話をすると、支持基盤である経団連や中小企業の経営者たちに、「あなた達が、無能だから労働条件が悪いのですね。だから人が集まらないのですね」と言うのと同じことになるからだ。

 しかし、外国人労働者の問題を議論する前に、まず、日本の労働法制の規制と執行の強化、そして、それと並んで、高い労働条件を提示できる企業だけが生き残れるような構造改革の議論を真剣に行わない限り、「人手不足」の問題への本当の答えが出ることはない。

■経団連が無能ぶりに気づかずに叫ぶ「就活ルール廃止」

 外国人労働者の問題の根底には、経団連経営者の無能ぶりがあるということを少しはお分かりいただけたかと思うが、もう一つ、経団連経営者の能力不足を示す話として、10月9日に経団連がぶち上げた「就活ルール廃止」のことを取り上げてみたい。

 経団連が廃止を主張する就活ルールとは、4年制大学の卒業生の採用スケジュールを経団連会員企業が統一する決まりだ。法的な拘束力はないが、経団連企業としての体面もあるので、あからさまにそれに反する行為をする会社は少なく、概ね守られてきた。

 その具体的な内容には変遷があったが、現行は、3年生の3月に説明会、4年生の6月に選考面接スタート、10月以降に内定ということになっている。経団連に入っていない中小企業などがこれより早く採用を始めて内定を出そうとしても、大手企業の結果がわからなければ、学生は就活に訪れてくれないので、事実上、日本の多くの企業がこのルールに縛られることになっている。

 しかし、外資系企業や一部の新興IT企業などには、経団連企業と競争しても負けないという自信があるため、3年生の3月よりも早く採用活動を始めるところがかなりある。その結果、優秀な学生は、経団連企業の内定が出る前に外資系企業などの内定を得てしまう。経団連企業から見ると、本来自分たちが採用する「はず」の優秀な学生が、就活ルールを正直に守っているせいで採用できなくなるのはおかしいということになる。「正直者が馬鹿を見る」制度になっているという理解だ。

 そこで、経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は2021年卒からの就活ルール廃止を表明した。これに対して、急に変更すると多くの学生が混乱するという懸念が強まり、政府からも即廃止には「待った」の声がかかった。そして、とりあえずは、今の就活ルールが維持されることになった。

 ただし、これはとりあえずの話で、経団連が強く要望している以上、いずれは就活ルールが廃止される可能性は高い。しかし、それで経団連企業の経営者が望む結果につながるかというと、そうはならないと私は見ている。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-12-04 06:25 | 資本 | Comments(0)
東芝が7000人削減へ。

一足先に辞めた
若手社員のホンネは…


11/16(金) 8:57配信より一部

bizSPA!フレッシュ

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181116-00088021-bizspa-bus_all

 日本を代表する企業のひとつが、大規模な人員削減を実施しようとしています。

 株式会社東芝(以下、東芝)は11月8日、2019年度から2023年度までの中期経営計画を発表しました。

 そこでグループ全体の5%である7000人を削減する案や、アメリカでの液化天然ガス(LNG)事業、イギリスの原発事業からの撤退案を発表しました。

 また、2019年3月末までの退職を前提とした「早期退職優遇制度」を活用すると発表し、注目を集めています。

「早期退職優遇制度」とは?

 2015~2016年にかけて、1500億円以上の「不正会計」の発覚、アメリカの原子力事業で巨額損失を計上、そして歴代3社長が辞任を表明するなど一気に経営危機に陥っていた東芝。

 経営再建に向けて事業の譲渡などを行なった結果、「グループ全体の売上高減少、事業規模の縮小、事業構成の変化に対応し、売上規模に見合う人員体制構築に取り組む」として、同社とその国内子会社から約1060人の早期退職者を募集すると発表しました。

 早期退職者を募集するのは、東芝、東芝エネルギーシステムズ(ESS)、東芝デジタルソリューションズ(TDSL)の3社で、東芝とESSの一部子会社も含まれるようです。それぞれの対象人数は東芝が約200人(傘下子会社の一部を含む)、ESSが約800人(傘下子会社の一部を含む)、TDSLが約60人としています。

 2018年度、第3四半期(2018年10~12月)から準備が整い次第、順次募集を開始し、早期退職の場合の優遇措置として、通常の退職金に特別退職金を上乗せして支給。希望者に対して再就職支援を行うそうです。

 現在、再生の第一歩を踏み出そうとしている東芝。そもそも、どのような会社なのでしょうか。

東芝の源流は別々の2つの会社

 東芝の歴史には2つの流れがあり、1つは1875年、からくり人形や万年自鳴鐘などを発明した田中久重によって、日本初の電信設備メーカーとして創設された「田中製造所」(のちの芝浦製作所)。

 もうひとつは白熱灯製造会社として1890年に創設された「白熱舎」です。「白熱舎」はのちにエレクトニクス製品を開発し、「東京電気」に改名されました。その2社が1939年に「東京芝浦電気」として合併し、東芝の礎がつくられました。

・・・(途中略)

 今回の発表より一足先に東芝を退社した元社員は……。

「会社自体は非常に働きやすい会社です。労働時間、周囲の環境、休みやすさなど。しかし周囲の危機感がないことが一番の退職理由です。

 不正会計後の経営危機にもかかわらず、40代から50代の危機感は全くありません。また、30代が少なく、今後会社を背負っていく世代が欠けています」(財務・会計関連職/20代前半/正社員/550万円/2016年度)

 2015年に起こした不正会計問題後の会社の対応や、高齢化していく社員たちに不安が募り、退職を決意したようです。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-11-17 06:25 | 資本 | Comments(0)
世界の流れに逆行する日本

―なぜいま水道民営化か


六辻彰二 | 国際政治学者

11/15(木) 8:29より一部

https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20181115-00104161/

臨時国会では水道事業に民間企業の参入を可能にする水道法改正案が成立する見込みだが、これは一旦民営化されたものが再び公営化される世界の潮流に逆行する。
•さらに、浜松市では今年度から既にフランス企業が下水道の運営を担っており、厚生労働省はこれを事実上のモデルケースと位置づけている。
•しかし、浜松市でのそれはいまだ「テストケース」であることから、これで一気に水道法改正に持っていくのは勇み足以外の何物でもない。

 臨時国会は外国人労働者の受け入れや日米通商交渉など重要テーマが目白押しだが、そのなかで政府が成立を目指す水道法改正案は埋もれた感が強い。水道事業に民間企業の参入を認める政府の方針は、世界の流れに完全に逆行するだけでなく、先行事例の検討も不十分な見切り発車と言わざるを得ない。

水道の「民営化」とは

 まず、政府が目指す水道法改正案の内容についてみていこう。

 現状では多くの自治体で料金徴収など一部の業務に限って民間企業が参入しているが、この改正案では水道施設の更新、保守管理、災害時の応急給水などを含む、水道事業そのものの経営を民間企業に委ねることを目指している。

 そこでは「水道施設などの所有権は地方自治体がもち続けるが、その経営権を民間企業に任せる」ことになる。これはコンセッション方式と呼ばれ、これまでにも空港などで用いられてきた手法だ。

 JRやNTTなどの民営化は「所有権も経営権も民間企業に任せる」もので、これと異なりコンセッション方式では所有権をもつ地方自治体が民間企業への監督権をもつ。

火の車の水道事業

 なぜ、政府は民間企業の参入を促そうというのか。政府の説明によると、その最大の理由は深刻な赤字を克服するためという。

 少子高齢化・人口減少にともなって水道水の消費量は減少しており、厚生労働省によるとピークだった2000年の一日3900万立法メートルから、2014年には3600万立法メートルに減少しており、このペースでいけば2060年には2200万立法メートルにまで落ち込むと推計される。

 これは水道料金の収益の減少を意味する。水道事業は独立採算制が原則で、基本的に水道料金で運営されているからだ。その結果、水道水の消費量が減れば減るほど水道料金が上がるという構図があり、既に筆者が暮らす横浜を含め、多くの自治体では水道料金の引き上げが実施、あるいは検討されている。

 それでも、ますます老朽化する水道施設の更新や自然災害の多発などで多くの資金が必要になっているため、料金引き上げだけでは追い付かない。平成10年に1兆8000億円を超えていた水道事業への投資額は、平成25年には約1兆円にまで下落した。おまけに、団塊世代の退職で水道職員は30年前と比べて約30パーセント減少している(いずれも厚生労働省)。

 こうして火の車になっている水道事業を救う一手として政府が提案しているのがコンセッション方式で、民間企業の資金、人材、ノウハウを投入することにより、効率的な経営と財政赤字の圧縮が期待されているのだ。

逆行?それとも周回遅れ?

 こうしてみれば、水道の「民営化」に問題はないどころか、必要不可欠にもみえる。JRやNTTの「成功」は、これを後押しするかもしれない。

 ただし、水道民営化は世界の潮流に完全に逆行するものだ。

 トランスナショナル研究所と国際公務労連の調査によると、2000年から2014年までの間に、世界35ヵ国で民営化されていた水道事業が再び公営化された事例は180件にのぼり、このうち136件は高所得国でのもので、44件が中低所得国だった。

 そもそも水道民営化は、世界レベルでみて新しいテーマではない。

 イギリスやフランスでは財政赤字が深刻化した1980年代に水道民営化が始まり、東西冷戦終結後の1990年代にこれは各国に普及した。とりわけ、開発途上国への融資を通じて影響力をもつ世界銀行がこれに熱心で、「民間の活力を注入することで、効率的かつ持続的に水道事業を提供できる」ことを強調してきた。

 そのプロジェクトの多くで、日本政府が今強調している、所有権を民間企業に譲渡しないコンセッション方式や官民パートナーシップ(PPP)なども採用されている。

 つまり、この点で日本は周回遅れとさえいえるが、問題は一旦民営化されていた水道が再び公営に戻されるケースがむしろ目立つことで、そこには水道民営化が抱える問題がある。

「民間の活力を取り入れればうまくいく」か?

 まず、コスト削減優先の民営化は、安全対策の手抜きを生んだ。イギリスでは1990年代に赤痢患者が増え、フランスでも未殺菌のままでは飲めない水が提供されるなどの問題が頻発した。

 これに加えて、水道料金の高騰も各地で確認された。民間企業である以上、採算がとれなければ話にならないので、公営以上に水道料金の引き上げは簡単に行われるため、例えばパリでは1985年から2009年までに265パーセント上昇した【Asanga Gunawansa, Lovleen Bhullar, Water Governance, p.378】。

 それだけでなく、民間企業による不正も目立ち、例えば世界に先駆けた事例の一つであるパリでは、2002年の監査で経済的に正当化される水準より25~30パーセント割高の料金に設定されていることが発覚した。

 こうした問題を受け、一旦民営化されたものが、契約期間が切れるのと同時に再公営化される、あるいは契約をうちきっても再公営化されるケースが後を絶たないのだ。パリの場合、2010年に水道大手ヴェオリアとスエズの二社との契約が切れた後、再公営化された。

 イギリスのシンクタンク、スモール・プラネット・インスティテュートによると、民営化された事業が行き詰って再公営化される割合は、エネルギーで6パーセント、通信で3パーセント、輸送で7パーセントだったのに対して、水道の場合は34パーセントにのぼる。

食い荒らされる開発途上国

 とはいえ、先進国はまだましともいえる。

 先述のように、開発途上国での水道民営化は世界銀行によって旗が振られたが、この機関は先進国の影響力が強いことで有名だ。そのため、世界銀行の勧告に従って水道事業を民営化した開発途上国に欧米の巨大企業が進出し、その国の水道事業がほぼ独占されることも稀ではなかった。

 フランスのヴェオリアとスエズ、イギリスのテムズ・ウォーターの三社は「ウォーター・バロン」と呼ばれ、水道事業で大きなシェアをもつが、これ以外にもアメリカのベクテルなど、欧米には「水メジャー」とでも呼べる巨大企業が軒を連ねている。

 このうち、例えばベクテルは1999年、南米ボリビアが世界銀行の勧告に沿って水道を民営化した後、コチャバンバ地方の水道事業を事実上買収した。その結果、1カ月の最低賃金が100ドルに満たない町の水道料金が1カ月20ドルになった【ヴァンダナ・シヴァ『ウォーター・ウォーズ』緑風出版】。

 住民の激しい抗議デモを受け、ベクテルは撤退に追い込まれたが、その後ボリビア政府に損害賠償請求を行っている。2006年、ボリビア大統領選挙では反米左派のモラレス氏が当選したが、こうした行き過ぎたグローバル化にさらされた経緯に鑑みれば、無理のない反応といえる。

 こうした事例は、後を絶たない。

 フィリピンの首都マニラでコンセッション方式によって進められた水道民営化は、水道普及や下痢発生の低下などで成果がみられたため、世界銀行はこれを「成功例」と位置づけている。

 しかし、マニラの水道事業はマイニラッドとマニラ・ウォーターの2社にほぼ握られ、現地の消費者団体によると、民営化以来の20年間で、両社の水道料金はそれぞれ973パーセント、583パーセント上昇した。度重なる値上げに、現地ではやはり、しばしば抗議デモが発生している。

水メジャーの日本上陸

 こうした水メジャーの一部は、国会で水道法改正案が成立する前の段階で、既に日本に上陸している。

 静岡県浜松市では今年4月、他の自治体に先駆けてコンセッション方式が導入され、水メジャーの一角を占めるヴェオリアが参加する企業連合による下水処理施設2カ所の運営を開始。事業期間は20年間で、浜松市はこれによって86億5600万円のコスト削減を見込んでいる。

 この事業は水道法改正案に関する厚生労働省の資料でも紹介されており、事実上一つのモデルケースと位置付けられている。コンセッション方式はこの他、大阪市、宮城県などでも検討されている。

 ただし、各国での失敗事例の多さに鑑みれば、見切り発車のようなコンセッション方式の導入には懸念が大きい。

 これに対して、推進派からは「他国の事例は参考にしかならない」、「そもそも水道民営化に行き詰ったのが全体の34パーセントなら、過半数はうまくいったのではないか」といった批判もあり得るかもしれない。

 確かに、民営化は万能薬でないとしても、絶対悪とまで断定することは難しい。浜松の場合、水道料金や下水道使用料は市条例で定められるし、反対の声があがったことを受けて市が事前に当該地域の住民に対して「請求金額に変更はない」と通知しており、少なくともいきなり料金引き上げには至っていない。

見切り発車はなぜか

 ただし、それでも「民営化の事案で成功例の方が多いのだから大丈夫」「浜松で問題がないなら大丈夫」と判断するには時期尚早である。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-11-16 06:25 | 資本 | Comments(0)
<東証1部>
利益合計が過去最高 

上場企業の中間決算ピーク


11/9(金) 22:31配信 より一部

毎日新聞

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181109-00000128-mai-bus_all

 東証に上場する企業の2018年9月中間決算発表が9日、ピークを迎えた。SMBC日興証券の集計によると、世界的な景気拡大に伴う海外収益の増加と円安が追い風となり、東証1部上場企業(金融業除く)の中間連結決算で最終(当期)利益の合計額は過去最高を更新する見通しだ。ただ、米中貿易戦争などで先行き懸念は根強く、19年3月期通期の業績に慎重な見方を示す企業は多い。

 8日までに公表した1部上場企業(1008社、全体の75.6%)の最終利益は前年同期比11.0%増で、売上高は4.4%増、本業のもうけを示す営業利益は6.3%増となった。9日以降の決算が会社予想通りと仮定して計算すると、最終利益は計16兆2690億円となり、売上高、営業利益とともに過去最高になる見通しだ。

 製造業や情報・通信がけん引し、アジアなどの販売が好調だったトヨタ自動車は過去最高益を更新。為替レートが円安で安定していることから、通期の想定レートを従来の1ドル=106円から110円へ円安方向に見直し、業績見通しも上方修正した。ゲーム事業が好調だったソニーや、投資事業が伸びたソフトバンクグループも最終利益が過去最高を更新した。

 ただ、通期の最終利益予想を下方修正した企業は176社あり、上方修正の企業数(163社)を上回った。通期の最終利益予想の合計額も18年3月期実績比で1.1%減となり、現時点で3年ぶりのマイナスに落ち込む見込み。SMBC日興証券の安田光氏は「貿易摩擦で企業心理が悪化し、業績予想を上方修正しにくくなった」とみる。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-11-11 06:25 | 資本 | Comments(0)
東芝、
5年で
7000人削減 

英原発子会社解散 

米LNG事業撤退


東京新聞 2018年11月8日 夕刊より一部

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201811/CK2018110802000277.html

 東芝が今後五年間にグループで七千人規模の人員削減を計画していることが八日分かった。定年退職による自然減が中心で、一部は希望退職制度を活用する。経費を圧縮し、五十歳以上の従業員が多い人員構成を適正化するのが狙い。こうした点を柱とする中期経営計画を同日公表した。

 米国の液化天然ガス(LNG)事業の撤退を決め、連結子会社の譲渡を二〇一九年三月末に完了させることも発表。売却先の具体的な名前は明らかにしていない。英原発子会社は解散する。

 東芝の海外も含めたグループ従業員は六月末現在、約十三万二千人。過去の不正会計や業績不振に伴う事業売却により人員規模が縮小している。一方で、今後は年間で千人程度の退職者が出る見通しとなっている。

 東芝は太陽光や風力などの再生可能エネルギーの世界的な拡大で、大きな成長が期待できない火力発電事業の縮小を検討していた。しかし、保守管理業務は一定の受注が見込めるため、大幅な人員削減を見送る。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-11-09 06:25 | 資本 | Comments(0)
トヨタ売上高、最高更新へ 

3月期予想
29兆5000億円
 

円安で上方修正


東京新聞 2018年11月7日 朝刊より一部

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201811/CK2018110702000153.html

 トヨタ自動車は六日、二〇一九年三月期連結業績予想の売上高を前期比1・3%減の二十九兆円から、0・4%増の二十九兆五千億円に上方修正すると発表した。減収見通しから一転し、二年連続で過去最高を更新する。想定より円安に推移していることが寄与する。

 純利益予想は15・0%減の二兆一千二百億円から7・8%減の二兆三千億円に引き上げ、減益幅が縮小する。本業のもうけを示す営業利益も4・2%減の二兆三千億円からほぼ前期並みの二兆四千億円へ上方修正した。

 前提となる為替レートを一ドル=一〇六円から一一〇円、一ユーロ=一二六円から一三〇円へそれぞれ見直し、輸出の採算が改善する。米国で値引きの原資となる販売店への奨励金を抑えていることも利益を下支えする。

 ダイハツ工業と日野自動車を含むグループの一九年三月期の世界販売計画は千五十万台で据え置いた。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-11-08 06:24 | 資本 | Comments(0)
企業が次々参画、

「浮体式」風力発電に
熱視線


10/22(月) 5:30配信より一部

東洋経済オンライン

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181022-00244158-toyo-bus_all

 福岡県北九州市沖15キロメートル。長さ51メートル、幅51メートルの浮体の上に、大きな2枚羽根をつけた風力発電機がそびえ立つ。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が委託し、丸紅などから成るコンソーシアムが実証事業を始める浮体式洋上風力発電設備だ。出力は3000キロワット。運転開始は今年10月上旬の予定だったが、2度にわたる大型台風襲来で延期され、2019年1月中旬ごろになる見通しだ。

■風力発電は経済波及効果が大きい

 欧州では英国などで洋上風力の導入が急速に進む。政府が後押しし、コストは大幅に低下。日本の総合商社や電力会社が欧州の洋上風力発電事業に出資するケースも目立ってきた。

 洋上風力へ熱い視線が注がれるのは日本も同じだ。四方を海に囲まれた日本は洋上風力の導入ポテンシャルが高い。環境アセスメント手続き中の案件は計約430万キロワット、原子力発電所の4基分強に当たる(17年12月時点)。環境省の試算によれば、設備容量ベースで陸上風力の導入ポテンシャルが2.8億キロワットであるのに対し、洋上風力は14.1億キロワットと約5倍。東京電力ホールディングスや九州電力、J‐POWERといった電力事業者も開発に意欲を見せている。

 「風車は部品点数が約1万点と多く、機器製造や建設、運転・保守の各段階で雇用を生む」(日本風力発電協会)。同協会によれば、仮に今後10年近くをかけ累計1000万キロワットの洋上風力を導入すれば、30年時点で直接投資5兆~6兆円、雇用創出8万~9万人、経済波及効果13兆~15兆円が見込まれるという。

 洋上風力は大きく二つに分類される。基礎を海底に固定する着床式と設備を浮かべる浮体式だ。水深の浅い海底が広がる欧州で導入が進むのは着床式だ。

 一方、日本では浮体式の導入ポテンシャルが高いとされる。浮体式が適した水深の深い海域が多いためだ。環境省の試算によれば、浮体式の導入ポテンシャルは着床式の4倍近い。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-10-23 06:35 | 資本 | Comments(0)
ヤバい会社が
大企業病に陥るワケ  

“サラリーマン社長“に
成長は期待できない?


10/11(木) 16:34配信より一部

日経BizGate

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181011-00010001-nkbizgate-bus_all

 会社の本質というものをこの目で見ることはできませんが、可視化された事象をつぶさに確認していけば、そこから優れた企業かどうかを見極めるヒントを得ることができます。企業の性格を決める最大の要因は、会社のリーダーである「社長」。ここではまず、そのリーダーの言動についての法則を見ていきます。

■自分の任期をつつがなく過ごせばいい

 世界に目を向けると、成長企業はフェイスブックもアマゾンもグーグルも、オーナーやオーナーの一族が経営しています。インドなどでも、企業経営者は、ほとんどが会社のオーナーです。

 ところが、日本では大企業のトップはたいていが“サラリーマン社長“です。ひと昔前までは日本企業もほとんどがオーナー経営だったのですが、いつのまにか多数決によって民主的プロセスで決まるサラリーマン社長がオーナーを排除してしまいました。

 そして、社会の中にそれを問題視する雰囲気はありません。どちらかというと“サラリーマン社長“が普通で、「オーナー経営=ワンマン経営」というネガティブなイメージすらあるようです。実際、トヨタ自動車は、経営陣に豊田家が残っていますが、そのことを指して「変な会社だ」という人もいます。

 しかし私は、サラリーマン経営者がトップに就いている企業に対しては、成長を期待しにくいと思っています。問題がある、という意味で「ヤバい会社」が多いのです。

 サラリーマン経営者の問題は、まず短期志向で企業を経営しがちなことです。

 豊田家ならトヨタ自動車の経営を10~30年単位で、もしかしたら100年先まで考えているでしょう。しかし、サラリーマン経営者の場合、自分が就任している間をつつがなく乗り切れればよいという思考が優先してしまいがちです。

 このため、サラリーマン経営者は四半期の業績にこだわり、長期的な視野が欠落しやすくなります。

 たとえば、将来を見据えての先行投資を行うといった場合、今期末で交代予定の社長と、任期が決まっていない社長とでは、判断が違ってくることが予想されます。目先の業績を上げたいなら、設備投資をするより、事業の選択と集中によって効率化を図ろうと考えるのが自然だからです。

 またサラリーマン経営者は、経営に関する決定事項は書類を固め、「みんなで決めた」という形をつくって自分ひとりが叩かれないように根回しすることも少なくありません。

 「マーフィーの法則」に「食べられないものも細かく砕けば食べられる」というものがありますが、これを企業経営に当てはめれば、「間違った意思決定も責任を分散すれば通せる」ということになってしまうのです。決定プロセスや決定項目を細分化すると、結局、責任を負う人はいなくなり、サラリーマン経営者は安泰というわけです。

 このようなやり方は、『失敗の本質――日本軍の組織論的研究』(中公文庫)にも載っています。日本が戦争に負けた後、A級戦犯にインタビューしたところ、誰もが日本は負けると思っていたという話があります。みんなが負けると確信しながら突き進んでしまった理由は、まさに「意思決定の分散の結果」だといえるのではないでしょうか。

 “民主的プロセス“で選ばれた経営者は、「敵をつくらない」「人から叩かれない」、いわゆる「いい人」であることが多いという特徴があります。「いい人」が「軋轢(あつれき)を生まないように」と全方位に配慮してコメントすれば、内容が無難で総花的なものになることは避けられません。大企業の場合、赤字の部署でも黒字の部署でも同じように配慮されて、経営上、革新的なものが生み出されにくい土壌ができてしまうのです。

■東芝問題は“サラリーマン経営“の大企業にとって他人事ではない

 「サラリーマン経営者」のダメな例の見本といえるのが、経営危機に陥った東芝です。

 皆さんは、人事の世界で有名な「ピーターの法則」をご存じでしょうか。

 サラリーマンが能力に応じて出世していくとすると、いずれ能力の限界を迎えて「課長止まり」となる人もいれば「部長止まり」になる人もいます。つまり課長止まりの人は「それ以上になれない能力の人」ということになるわけです。すると結局、組織のポジションは「そこまでしか昇進できない人」で埋め尽くされていくことになります。これがピーターの法則です。

 外資系企業の場合、多くは「アップ・オア・アウト(昇進するか、さもなくば辞めるか)」の世界なので、ピーターの法則は回避されます。

 一方、日本の大手企業の場合、「昇進できなくなれば辞める」という考え方は一般的ではありませんから、ピーターの法則で考えれば組織内のポジションは「それ以上は出世できない無能な人」で溢れることになってしまうでしょう。「無能な人」がどんどん溢れる組織は不活性化し、事なかれ主義に陥りがちになります。いわゆる「大企業病」の症状のひとつです。

 このような企業風土の中、任期が限られているサラリーマン経営者には、「この情報を開示して株価が下がったら自分の評価も下がる。それならとりあえず問題を先送りしよう」というバイアスがかかりやすくなります。

 実際、東芝では歴代社長が3代にわたって不正会計を申し送り事項としてきました。病巣が小さいうちに手を打つこともできたはずですが、事態が悪化していることに蓋をし続け、米国の原発事業で巻き返しを図ろうと大博打を打ち、にっちもさっちもいかなくなってしまったわけです。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-10-12 06:25 | 資本 | Comments(0)
国も見放す

三菱重工の「たぬき」


10/1(月) 0:55配信より一部

月刊FACTA

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181001-00000001-facta-bus_all

国も見放す三菱重工の「たぬき」

原発事業にエネ庁の救いの手なし。司法取引でも当局に騙された。三菱重工と国に溝。

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「東電・中部電、原発事業で提携 日立、東芝も参画」。日本経済新聞は8月22日、電力大手の東京電力ホールディングス(HD)と中部電力、電機大手の日立製作所と東芝で原子力事業の4社連合を作るという記事を流した。国内原発の保守管理を担う新組織を立ち上げる計画だが、将来的には原発事業全体の統合も視野に入れているといい、すわ大再編かとエネルギー業界は沸き立った。

4社はいずれも沸騰水型軽水炉(BWR)型原発を運営または製造している。BWRは東日本大震災で事故を起こした福島第一原発と同型。安全規制の審査が長引き、未だに再稼働できていない苦しい台所事情から大連合構想が急浮上した格好だ。

そんなBWR陣営とは対照的に、加圧水型軽水炉(PWR)型原発を手がける関西電力や九州電力、そして三菱重工業からは同種の話が聞こえてこない。大震災以降、再稼働が認められた9基はいずれもPWR。1基も動かないBWRのような切迫感がないからともいえるが、それ以外の理由もある。

「(三菱重工社長の)宮永(俊一)さんとはほとんど話をしてないね。我々は彼を“たぬき”と呼んでいる。見た目もあるけれど、三菱重工に原発事業を続ける気があるのかないのか、国と一緒にやりたいのかよく分からず、腹の中が読めない」。資源エネルギー庁幹部はそう突き放す。

別の経済産業省幹部は最近、宮永氏と会食した。原発事業について話をしたものの、同氏が一般論に終始したことに不信感を抱いたという。

東電や日立など4社連合の下絵を描いたのは、経産省の嶋田隆次官と、今年7月に退任したエネ庁の日下部聡元長官の「82年入省組」。巷間、仲が悪いと言われる2人だが、原発再編の必要性では意見が一致している。2人は4社連合と同時に関電と三菱重工を核にしたPWR連合の立ち上げも画策していた。

■忖度で捜査中断

先のエネ庁幹部は言う。「4社連合は東電の廃炉や補償、東芝の米ウェスチングハウス問題など面倒なことが多いため、あくまで民間同士が話し合っている構想という建てつけ。でも既に再稼働しているPWR連合は原子炉の新増設や建て替えなど前向きな連携になるため、我々が関与しやすい。当初はむしろこちらを主軸にしたいと考えていたが……」。エネ庁と三菱重工とのコミュニケーション不足がPWR陣営再編を阻む壁になっているようだ。

国と三菱重工のすれ違いは、トルコの原発新設計画でも起きた。黒海沿岸のシノップに原発を新設する計画だったが、三菱重工側が7月末に総事業費が当初計画よりも2倍近い5兆円に上るとの試算を盛り込んだ事業化調査(FS)結果を提出。トルコ政府が受け入れに難色を示している。

三菱重工側は、トルコのエルドアン大統領と交渉できるルートを持っていない日本政府を批判する。実際のところ、政府系金融機関を使った融資保証を検討するなど、日立の英国原発(ホライズン)計画には協力を惜しまないエネ庁だが、三菱重工のシノップについては“放置プレー”が続く。三菱重工が怒るのも無理はないが、国が見限ったと言ってもいい状況だ。

原発に加え、防衛・航空事業を手がける三菱重工はかつて国にとって重要パートナーだった。それを象徴したのが、1986年の転換社債(CB)事件だろう。三菱重工は価格の上昇が確実な1千億円分のCBを発行するのに際し、一部を与党政治家らに販売。短期間で額面は2倍になり、手にした政治家は濡れ手に粟で多額のカネを得た。当時、東京地検特捜部が事件化に向け、内偵捜査を進めたが、途中でストップがかかった。

特捜部検事だった田中森一氏が自著で語っているところによると、テレビのコメンテーターとして活躍した河上和雄氏が「自民党を潰して野党に政権を渡すつもりなのか」などと捜査員を怒鳴りつけたという。三菱重工の顧問弁護士を務めた江幡修三氏(元検事総長)の存在も大きく、結果として内偵捜査は打ち切られることになった。実際に圧力をかけたかどうかはさておき、三菱重工は捜査当局も忖度しなければならない存在だったわけだ。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2018-10-01 06:25 | 資本 | Comments(0)